佑月side
「は?忘れたんじゃなかったんか?」
ここは、俺と亮の行きつけの美味しいお鍋のお店。
2人で、鍋をつつく。
「あのマンションから引っ越して、凛ちゃんと離れて、最初の頃の佑月は、誰が見てもわかるくらい気が抜けてたけど……。最近はもう吹っ切れたのかと思ってた。」
ぐつぐつ、鍋の煮える音。
「大丈夫かなぁ。」亮がはんぺんをかじりながら呟く。
「大丈夫ってなにが?」
「凛ちゃん。」
「凛は、誰にも言わないよ。」
「言わへんやろな。言えへんくて、誰にも相談出来ない。きっとひとりで泣くで。」
亮を見る。亮とは目は合わない。
