佑月side


凛ちゃんがいなくなったあとの車内。


凛ちゃんの座ってたところに残された封筒。
俺のメンバーカラーの青色を基調とした可愛らしい花柄の封筒を手に取る。分厚っ。ふふって笑ってしまう。初めて凛ちゃんにもらった手紙を思い出す。あれは、あまりにも控えめだったな、なんて思い出す。


こんなにいっぱい書いてくれたんだ。
手に取った封筒を開けると、たくさん手紙が入っていた。枚数を数える。13枚。1枚ずつ目を通す。
この3ヶ月間で楽しかったこと、俺の好きなところ、……その1枚1枚に凛ちゃんの気持ちが込められていた。
“佑月くんが大好きです。これからも応援しています。”
“今までありがとうございました。”
手紙の中には、告白めいたことは書かれていなかった。あくまでも、ファンとして、一線を引いている文章だった。


『私、佑月くんのことが』
声を震わせながらそう言った凛ちゃんを思い出す。
もし、あの続きを聞いてしまったら俺は。


ハンドルを、拳で叩く。ドン、って鈍い音が、車内に響いた