「岳さんに一目惚れしたんです。本屋で」
「……本屋で!?」

 隠れ腐男子の俺にとっては、ぞっとするような言葉――それを投げかけたのは、双子の妹が連れてきたイケメンすぎる後輩、小湊くんだった。

 小湊くんはなぜか、こんな地味で平凡な俺のことが好きらしい。
 ……え、そんなことある?
 戸惑う俺をよそに、小湊くんのアプローチは日に日に加速していく。

「こういうの、俺とじゃ嫌ですか?」

 背中に伝わる彼の心臓の音で、とうとう信じるしかなくなった俺。
 これからゆっくり、お互いのことを知っていこう――と思ったのだけど。

「――なに想像してんの?」
「どうせ俺がなにもしないって思ってんでしょ、岳さんは」
「俺のこと、信用しすぎ」

 漫画よりもずっと刺激的で、甘い言葉を連発してくる小湊くん――沼すぎる……。このままじゃ俺の心臓壊れるなって、本気でそう思った。

 けれど小湊くんは、いつだって最後には、俺の気持ちを待っていてくれた。
 そんな一途な優しさに、ゆっくりと心動かされていく日々の中。

「……期待、してていいの?」

 真っ赤に頬を染める彼へ。俺は、どうしても伝えたいことがあるんだ。