======== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
辻友紀乃・・・鍼灸師。柔道整復師。高校の茶道部後輩、幸田仙太郎を時々呼び出して『可愛がって』いる。
蓮根信一・・・辻鍼灸治療院の常連。
=====================================
私の名前は辻友紀乃。
辻は、所謂通り名。そして、旧姓。戸籍上は「大下」。
旦那は「腹上死」した。嘘。
本当は、がんだった。
膵臓がん、って奴だ。
私は、鍼灸師で柔道整復師だ。
お馴染みさんは、これでも多い方だ。
今日も、「お馴染みさん」の話。
針を刺しながら、蓮根に尋ねた。
「どや、その後。」
「昨日、ひさしぶりに、低血糖が出ました。」
「それで?」
「最初、ぼうっとした感じで。熱中症でもないし。取り敢えず横になりました。」
「それで?」
「ひょっとしたら、と思ってスティックシュガーを飲んだんです。水と一緒に。それで、また、マシになった気はしたので、血圧と体温測ったら、異常値じゃなかったです。」
「それで?」
「軽く昼食を採ってから、昼寝しました。」
「それで?」
「回復しました。」
「良かったな。10ポイント、あげよう。」
「ポイント制ですか?貯まったら、何か・・・。」
「賞品・賞金はない。でも、私の教えたことは無駄やなかった。救急車を呼ぶのは、最後の手段や、アンタは糖尿病患者から、それでええねん。『糖尿病』という古い名前に惑わされて死ぬまで糖分採ったらあかん病気と思い込む、おっちょこちょいが多いからな。血糖値のコントロールは、自己管理や。そやからこそ、極端な処置はあかんねん。」
「ありがとうございます。」蓮根は、涙した。
おっちょこちょいのお節介は、たまに患者の病状を悪化させる。
『悪い事はいわんから』は、『悪い事の内容は言わんから』 の略、『騙された思って』は『騙されたと思ってた筈』の略と考えるのが無難や。
蓮根が帰った後、思い出して、イカを焼いた。
「これ、何カロリーかな?気にせへんけど。」
―完―


