鍼灸師辻友紀乃


 ======== この物語はあくまでもフィクションです =========
 ============== 主な登場人物 ================
 辻友紀乃・・・鍼灸師。柔道整復師。高校の茶道部後輩、幸田仙太郎を時々呼び出して『可愛がって』いる。
 鴻巣恭子・・・辻鍼灸治療院の常連。
 幸田仙太郎・・・辻鍼灸治療院の常連。辻の高校の茶道部後輩。

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 私の名前は辻友紀乃。
 辻は、所謂通り名。そして、旧姓。戸籍上は「大下」。
 旦那は「腹上死」した。嘘。
 本当は、がんだった。
 膵臓がん、って奴だ。
 私は、鍼灸師で柔道整復師だ。
 お馴染みさんは、これでも多い方だ。

 今日も、「お馴染みさん」の話。
 針を刺しながら、鴻巣に言った。
 「どや、最近は。旦那にサービスしてるか?蛸女。」
 「イー!!旦那はええんよ。ウチ、あの女子衆(おなごしゅ)、嫌い。」
 「おなごしゅ。時代劇か。下女達、やな。どこのオンナズや。」
 「アメマーテレビや。何で、『女子会』流すんよぉ。」
 「そんなに酷いんか。」
 「総理の悪口大会。あれな、病気やで。」
 「病気か。」
 「妬み(ねたみ)嫉み(そねみ)僻み(ひがみ)の怨み(うらみ)三悪霊が憑いてるな。」
 「ほな、医者より神主さんやな。」
 「お祓い、効くかなあ。」
 「お祓いは効かんかもやけど、吸盤は効くやろ。」
 「毎晩、旦那がヒイヒイ言うてる。」
 「ほんまに?今日は一個サービスや。」

 着替えが終わった瞬間、待ち合いの引き戸を開けると、また幸田がハンカチ噛んで涙流してた。
 「病気?」
 「ああ。コイツのは針で治る。あ、精算な。5000万円。」

 幸田が、そっと中に入った。
 まだ、ハンカチ咥えている。立派な芸やな。

 ―完―