鍼灸師辻友紀乃


 ======== この物語はあくまでもフィクションです =========
 ============== 主な登場人物 ================
 辻友紀乃・・・鍼灸師。柔道整復師。高校の茶道部後輩、幸田仙太郎を時々呼び出して『可愛がって』いる。
 幸田仙太郎・・・辻鍼灸治療院の常連。辻の高校の後輩。
 藤島ワコ・・・藤島病院看護師。院長の娘、幸田の幼馴染み。
 当麻・・・辻鍼灸治療院の常連。

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 私の名前は辻友紀乃。
 辻は、所謂通り名。そして、旧姓。戸籍上は「大下」。
 旦那は「腹上死」した。嘘。
 本当は、がんだった。
 膵臓がん、って奴だ。
 私は、鍼灸師で柔道整復師だ。
 お馴染みさんは、これでも多い方だ。

 今日も、「お馴染みさん」の話。てか、幸田。茶道部の後輩。
 針を刺しながら、幸田に尋ねた。
 「お前は、選挙行ったんか?」
 「俺は、『期日前投票』行きました。商売柄、仕事になるか判らんから。」
 「で、決心ついたか。」
 「何の・・・止めて下さいよ。俺、その内ほんまにワコを抱くかも知れん。」
 「本人は、その気やで。『一生、日陰のオンナ』でもエエって。」
 「先輩。それ、いつ聞いたんですか。」
 「こないだ、お前が治療に来た時。アレな。本気やで。恋はオンナを狂わすんや。お前、何年、待たせた?」
 「あの時8つで、今が29やから・・・何で計算せなアカンのですか。」
 「あのな、世間には黙っておいてやるから。お前の為や。どうせ、澄子は産む可能性ないやろ?性欲はな、オトコもオンナも一生つきまとう。でもな。体は変化して行くんや。そや。時間枠作ったろか?『逢い引き』の。後輩のお前の為や。タダでエエ。ドリンクは別やで。」
 言い方が、昔の〇〇〇ババアそのものやな。

 幸田は、口をとがらせて精算し、帰った。
 奥からワコが出てきた。
 「もう一押しや。」
 「そうかな?」
 「ワコの歳、知ってたやろ?」
 「うん。」
 「オトコはな、気になるオンナの歳以外は覚えへんねん。」
 「20年待つのも40年待つのも同じか。後20年したら、澄子さん、逝ってくれるやろうしな。」
 「お前とこ、病院やろ?」
 「うん。」
 「お前、看護師やろ?」
 「うん。」
 「その内、入院するがな。」

 オンナ2人、忍び笑いをした。

 次の客、当麻は、そっと、引き返した。
 今日は、急用出来たことにしよう、と思いながら。

 ―完―