======== この物語はあくまでもフィクションです =========
 ============== 主な登場人物 ================
 辻友紀乃・・・鍼灸師。柔道整復師。高校の茶道部後輩、幸田仙太郎を時々呼び出して『可愛がって』いる。
 松村太郎・・・小学校の後輩。

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 私の名前は辻友紀乃。
 辻は、所謂通り名。そして、旧姓。戸籍上は「大下」。
 旦那は「腹上死」した。嘘。
 本当は、がんだった。
 膵臓がん、って奴だ。
 私は、鍼灸師で柔道整復師だ。
 お馴染みさんは、これでも多い方だ。
 今日も、「お馴染みさん」の話。小学校後輩の話。
 今日は祝日、文化の日。
 肩が上がらないと言うから、店、開けた。
 「先輩。越えたんちゃいます?」
 「お前、はっきり言うなあ。最近、乳バンドきついねん。」
 「乳バンド・・・ウチの母もブラジャー言わんと乳バンド言うてました。」
 「一周忌、どうやったん?」
 「11時集合で読経が30分。30分だべって、もうお昼やな、で帰りました。」
 「あっさりしてるなあ。普通は、そこから弔問客の親族だけ墓参りして、家族は留守番、ちゃうの。皆が帰って来たら『ご苦労様』言うて手を洗わせて。」
 「ない。まあ、姉が足悪いこともありますけどね。僕も足悪いのに毎月墓参り行ってますけどね。もう、日を置いてから行きますわ、一人で。いつものように。」
 「後、法事は?」
 「来年、三回忌やって終わり。母は三回忌まででええて言うてたし。まあ、気ィのもんですわ。」
 起き上がりヘルパーで起き上がる間に、用意していた『ご仏前』を出した。
 「これは、持って来た?」
 「流石に、ご仏前とお供えは持って来ましたよ。まあ、どうせ、僕は孤独死するんやし。」
 「アホ。死にそうになったら、私に連絡せんかい。何でもやったるで。オッパイ吸うたらあかんで。」
 「先輩・・・都合ついたら、三回忌来てくれません?来年やけど。」
 「ええよ。家出したとき、お前の家に泊めて貰ったなあ。お母さん、『今日はただでええで』って言って。」
 「よう覚えてはりますね。3人で撮った写真、まだありますよ。あ、仏壇に飾りますわ。母も、その頃のこと思い出すかも知れんし。」
 「ああ、そうしてくれ。」

 松村が帰った後、久しぶりにワインを飲んだ。
 昔を思い出して。
 いつの間にか、寝入ってしまった。

 ―完―