＝＝＝＝＝＝＝＝　この物語はあくまでもフィクションです　＝＝＝＝＝＝＝＝＝
　==============　主な登場人物　================
　辻友紀乃・・・鍼灸師。柔道整復師。高校の茶道部後輩、幸田仙太郎を時々呼び出して『可愛がって』いる。
　幸田仙太郎・・・友紀乃の後輩。
　鴻巣恭子・・・辻鍼灸治療院の常連。

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　私の名前は辻友紀乃。
　辻は、所謂通り名。そして、旧姓。戸籍上は「大下」。
　旦那は「腹上死」した。嘘。
　本当は、がんだった。
　膵臓がん、って奴だ。
　私は、鍼灸師で柔道整復師だ。
　お馴染みさんは、これでも多い方だ。
　今日も、「おとくいさん」の話。と言っても、幸田だ。

　「そうか。道頓堀の『飛び込み』だけやないんか。大変やったな。ご苦労さん。」
　「俺が捕まえたのは、テレビ局の人間でした。『お忍びで』とか抜かしやがって。無許可やんけ。真壁警部がニッと笑ってたから、大分『可愛がられた』かも。」
　「凄腕なん？」「警視庁の新里、大阪府警の真壁。『落とし』のプロですわ。」
　「ああ、プロと言えば、小金井啓助。大分感謝してくれたわ。そら、私は『蚊ア止まった』位やないからな。」
　「先輩はプロ中のプロですやん。今日は、EITO大阪支部は臨時休業。南部興信所も臨時休業。」
　「へえ。」「神社仏閣は面積が広いし、予め犯罪が特定出来てひんから。」
　「そこをプロの目で探す訳やな。ところで、不倫は進んでるか？」
　「堪忍してくださいよ。俺は、澄子の方で『年貢』納めたやんから。」
　「ほな、あれか。『本妻が死ぬ迄日陰の身で待つオンナ』か。可哀想に。」
　「先輩。澄子が最近、『本妻』でも『正室』でもええよ、って言うんですよ。先輩が変に勧めるから。」
　「アカンかった？」「アカンでしょ。」
　「里子、貰うか？」「アテがあるんですか？」
　「ない。」「ないなら言わんといてくださいよ。」

　幸田は、口をとがらせて帰った。
　冗談やないか。
　あんまり向きになるから、「口裏合せてる」に決まってるやろ？
　澄子は、可哀想やが、子供は産めん。
　ワコやったら、1ダースは産める。
　それは、事実や。
　私は、現実主義やねん。
　可愛い後輩の為なら、この身を・・・は無理やからな。
　私の豊満な体は、「患者の鑑賞用」や。お金はとらへんよ。
　いつも浮気調査して振り回されているから、ああはならんとこって思ってるんやろな。
　ま、人生いろいろあるわな。
　ん？どっかで聞いたな。

　電話が鳴った。
　「ああ、鴻巣さん。ええよ。待ってるよ、ええネタ持って来て。」
　「まいど・・・って、寿司屋か、私は。」

　ノリのええ奴や。

　―完―