2025-09-28
『運命』

「運命ならまた付き合うと思う」
そう言われて別れた3年前の秋。

別れた頃は復縁も考えていたが
忙しさがその考えを薄れさせた。

仕事に追われてばかりの3年だった。
だから君の台詞は忘れてしまいつつ。

何処で君が何をしているのかを知らない。
きっと君も僕が何をしているか知らない。

別れたとき、意固地になってしまい
連絡先を消してしまったことの後悔。

ふと思い出しただけなのに
こんなに話したくなるとは。

寂しい、少しだけ。

過去では繋がっていた人と
現在で繋がれないと思うと。

「運命」って何なのだろう。

また付き合える未来が見えない。
また出会える未来すら見えない。

出会えたこと自体が奇跡であり
付き合えたことが運命なのだと。

散歩中の僕はある場所に向かっていた。
3年前の秋、別れを告げられた場所へ。

別れを告げられたときには気付かなかった。
けれど今、足元を見ると落ち葉が凄く多い。

秋。涼しくなった夜。
あの頃の記憶が蘇る。

ここで振られたんだっけ、と思っていると
後ろから「あれ?もしかして」と声がする。

ああ、これが運命ってやつなのか。
振り返ると、君ではない人がいた。

「すみません、人違いでした」と言われ。
僕は無理やり笑顔を作って平然を装った。

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