2025-09-29
『そう言われてしまい』

いつまでも私が君のことを
好きだなんて思わないでね。

そう言われてしまい、困る。

どうすれば好きでいてくれる?
僕は困った表情をして訊ねた。

僕の目を見つめながらただ一言
回答案がないから難しいんだよ。

そう言われてしまい、悩む。

好きって単純そうで複雑だな。
僕はボソッと呟くように言う。

悲しげな表情をした彼女を見て
僕は好きだよ、ずっとと言うが。

僕から視線を逸らしてただ一言
ずっとって何、保証はあるの?

そう言われてしまい、惑う。

始まりがあるから終わりがある。
この関係もいずれ終わりを迎え。

こうして些細な会話さえ
愛おしいと思えるほどに
懐かしさを帯びてしまう。

ごめん、ずっととかないかも。
震える声で僕は彼女に謝った。

謝らないで、と彼女は言い放ち
少し悲しくなっただけと続けた。

そう言われてしまい、迷う。

悲しさを抱かせてしまう僕はきっと
彼女を苦しめているのかもしれない。

けれどここで別れを告げてしまっては
あまりにも悲惨で悲劇的な終焉を迎え。

寄り添うことが大事なのだと気付く。
たとえ悲しませてしまったとしても。

どこか遠くに出かけよう、と僕は言った。
彼女はうん!君とならどこでも楽しいよ。

そう言われてしまい、照れる。

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