2025-10-01
『作家』

その人の紡ぐ文字が好きだった。
もう更新されることはないけど。

数年前に発売された本を手に取り
その人のことを知ることになった。

書かれている文字から愛が伝わってくる。
その人の弱さも脆さもひしひしと感じる。

SNSをやっているのだと知り
すぐに探してフォローをした。

数年前に発売された本の宣伝を最後に
更新されることのなくなったSNSの垢。

リンクの部分から飛ぶとブログを読めた。
その人の何気ない日常を切り取ったもの。

東京に住んでいるらしい。
新宿の夜をこよなく愛し。

夜の写真が幾つも載せられていて
それに添えるように文字もあった。

私が惹かれた文字そのもので
寝る間も惜しんで読み進めた。

けれどSNSの更新が止まった時期と
同じようにブログの更新も止まった。

更新されなくなったブログを何度
スクロールしようとも更新されず。

一旦、スマホを置いた。
そして本を読み進める。

その人が残した最後の言葉は
あまりにも美しいものだった。

"
別れはいずれ訪れるものだから
それまではお互い愛し合おうよ
"

胸が苦しくて本を落としてしまった。
触れたことのない温もりに触れたい。

別れの訪れがあまりにも早かったから。
まだ私とあなたは、愛し合っていない。

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