2025-10-16
『音のない地獄』
嫌いになれないことは地獄だし
好きになれないことも地獄だよ。
そう言われた真昼時のカフェ。
人が混み合っていて騒がしい。
友達の話している声を遮るように
子連れのママたちが馬鹿笑いする。
子供はスマホを眺めて大人しいのに
ママたちは周りの目を気にせず話す。
「場所、変えようか」と友達に言った。
「そうだね、変えよう」と友達は笑う。
あまり人がいなさそうな公園、着く。
そして「さっきの続き聞きたい」と
お尻がベンチに着く前に私は言った。
先に腰を下ろしていた友達は
「何の話してたっけ」と言う。
「地獄の話、嫌いも好きも地獄みたいな」と
私は興味がありすぎて早口になってしまった。
「そうだったね、嫌いな人とかいる?」と訊かれ
「嫌いというよりも苦手な人はいる」と答えると。
「好きと嫌いの間に苦手もあるか」と言い
「苦手な状況も地獄に近しいね」と笑った。
何が可笑しかったのか分からないけれど
友達の笑う声につられて可笑しくて笑う。
地獄って凄く辛い場所のように思う。
そういう意味では適しているのかと。
相手からはもう好かれてはいなく
でも自分が好いているという地獄。
相手からは好かれているというのに
その人を好きになれないという地獄。
相手は何とも思っていないだろうけれど
私は苦手だと思いながら接している地獄。
幾つ、世の中に地獄は存在しているのだろう。
「ちなみにどんな地獄を経験したことある?」
私は笑っている友達に問いを投げかけてみた。
すると笑っていたのが嘘のように真顔へとなり
「旦那に不倫されていたのは地獄だったな」と
私の目を見つめて低い声で言ってきたのに対し。
少し冷や汗をかいてしまう。
だって不倫相手は私だから。
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『音のない地獄』
嫌いになれないことは地獄だし
好きになれないことも地獄だよ。
そう言われた真昼時のカフェ。
人が混み合っていて騒がしい。
友達の話している声を遮るように
子連れのママたちが馬鹿笑いする。
子供はスマホを眺めて大人しいのに
ママたちは周りの目を気にせず話す。
「場所、変えようか」と友達に言った。
「そうだね、変えよう」と友達は笑う。
あまり人がいなさそうな公園、着く。
そして「さっきの続き聞きたい」と
お尻がベンチに着く前に私は言った。
先に腰を下ろしていた友達は
「何の話してたっけ」と言う。
「地獄の話、嫌いも好きも地獄みたいな」と
私は興味がありすぎて早口になってしまった。
「そうだったね、嫌いな人とかいる?」と訊かれ
「嫌いというよりも苦手な人はいる」と答えると。
「好きと嫌いの間に苦手もあるか」と言い
「苦手な状況も地獄に近しいね」と笑った。
何が可笑しかったのか分からないけれど
友達の笑う声につられて可笑しくて笑う。
地獄って凄く辛い場所のように思う。
そういう意味では適しているのかと。
相手からはもう好かれてはいなく
でも自分が好いているという地獄。
相手からは好かれているというのに
その人を好きになれないという地獄。
相手は何とも思っていないだろうけれど
私は苦手だと思いながら接している地獄。
幾つ、世の中に地獄は存在しているのだろう。
「ちなみにどんな地獄を経験したことある?」
私は笑っている友達に問いを投げかけてみた。
すると笑っていたのが嘘のように真顔へとなり
「旦那に不倫されていたのは地獄だったな」と
私の目を見つめて低い声で言ってきたのに対し。
少し冷や汗をかいてしまう。
だって不倫相手は私だから。
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