スキル【万能温泉】で、もふもふ聖獣達と始める異世界辺境村おこし。


「う~む、本当にこの温泉とやらは心地よいものであるな」

「ワオン」

 晩ご飯を食べ終わってから順番に万能温泉へ入っている。

 領主様はとっても気持ちがよさそうだ。

「ここの温泉は腰や肩にも効能があるようでな。儂も何度かこの温泉へ入ったことにより、ずっと痛かった腰が良くなってきたようじゃ」

「私も昔魔物との戦闘で負った古傷まで治りました」

 今は長老さんとエルフの里の人も一緒に入っている。クロウや村長さん、領主様と護衛の人にエルフのみんなといろんなみんなが一緒にひとつの温泉に入っているのはなんだかすごい気がする。

「ふむ、私も少しずつ身体の調子が悪くなっているから、今後も定期的にこの村に通わせていただきたいところだ」

「ええ、いつでもいらっしゃってください」

 領主様も定期的にこの村に来てくれるみたいだ。領主様やフィオナちゃんがこの村へ来てくれるのは僕も嬉しい。

「……そういえばこの温泉は毒だけでなく呪いも解除できると仰っておりましたか?」

「うむ。それについては間違いない。儂らでも解くことができなかった強力な穢れなども解くことができるのじゃ」

 長老さんはエルフの里の聖天の樹にかかった強力な穢れのことを言っているのかな。

「おおっ、それはすばらしいですな! ……エルダ殿、ヴァリン様。もうひとつ確認したいのですが、腕や足を斬り落としたり、目を潰されたりした者がこの温泉に浸かったことはございますか?」

「いえ、それはまだございません」

「うむ、儂らもそれは考えていたことではあるが、そういった者がいなかったこともあってまだ試せてはいないのう」

 なんだかみんながいきなり物騒な話をしている。そういえばそこまで大きな怪我をした人と会ったことはなかったなあ。やっぱりこっちの世界は魔物や盗賊がいるから、そういった大きな怪我をしてしまう人もいるのかもしれない。

 そうか、もしかすると万能温泉に入れば腕や足なんかも生えてきたりするのかな?

「そういった者に心当たりがあるのですが、もしも皆様が許してくれるのであればここに連れて来てもよろしいでしょうか? もちろんお断りいただいても構いません」

「……少し考えさせていただいてもよろしいでしょうか?」

「うむ。事が事だけによく考えさせてもらった方がいいであろう」

「ええ、もちろんでございます」

 あれ、村長さんと長老さんはあんまり乗り気じゃないみたいだ。そういった大きな怪我を治せるのなら、もっといいことだと思うんだけれどなあ。



「さて、どうしたものかのう……。領主様の2つ目の頼みを受けるかどうか、皆の意見を聞きたいところであるな」

 温泉から上がって、領主様たちは壁と壁の間の場所に張ったテントへ戻っていった。そのあと村長さんの家にみんなで集まっている。

「僕はいいと思うよ。大きな怪我をした人をここまで連れてきてくれれば、あとは万能温泉に入ってもらえばいいだけだもんね」

 僕がそう言うと、なんだかみんなが微笑ましく僕の方を見てくる。

『それが一番良いのだがな』

『ええ、この村にまで連れてきてくれるのなら、ソラの温泉の秘密がバレてしまう可能性は少なくなるわね』

「領主様を信頼して、定期的に怪我人を治療するはよいかもしれませんな。問題は手や足や器官などを失った者の治療をどういたしましょう?」

「う~む、それについては難しいところであるな……」

 なぜかみんなが頭を悩ませている。

 さすがに手や足が生えてくるのかまではわからないけれど、試すだけ試してみてもいいんじゃないかな?

「ソラ殿に改めて説明すると、小さな怪我などは魔法を使って治療をすることはできるのじゃが、部位欠損といった器官を失った部位を治療することが魔法でもできないのじゃ。さすがにそこまでを治療することは儂も無理じゃと思うが、もしも治療できた場合は今までの比ではないほどこの村が注目を浴びることは間違いないであろう」

『ええ。その場合は領主どころか国が動いても不思議じゃないわね』

『うむ。これまで以上に面倒な者を呼び込む可能性が出てくるわけだ』

「………………」

 僕は簡単に考えていたけれど、失った手や足を元に戻すことができたら、それはとんでもないことみたいだ。