スキル【万能温泉】で、もふもふ聖獣達と始める異世界辺境村おこし。


「怪我人を癒すですか?」

「うむ。この国には大きな怪我を負って引退した騎士や冒険者が多くいる。治療費を払うので、彼らをこの温泉で癒してはもらえないだろうか?」

「ふむ。確かにこの温泉の湯につかればそういった者の怪我を癒すことは可能じゃが、誰かれ治療をすれば面倒なことになると思うぞ」

 長老さんが村長さんと領主様の話に割り込む。

「はい。ヴァリン様の言う通り、街にいる怪我人すべてを治療してもらえれば、必ず誰かからこの村と温泉のことがバレてしまい、悪しき目的を持った者がやってくるでしょう。そのため、街の医師では治せない大きな怪我をしていて、ある程度の功績があり、なにより口の堅い者のみに限りたいと思います」

「……うむ。誰かれ構わずこの村へ入れるのはよくないであろう」

「本来であればすべての怪我人を治療したいのですが、この村のことを優先して怪我人を選びたいと思います。この村であればその心配もないように思えますが、念には念をいれたいと思います」

 ……本当は怪我をした人全員を治せるのが一番いいんだけれど、盗賊みたいな悪い人もいっぱいいる。

 知らない人たちをこの村に入れるのはやっぱり怖いよね。

「もちろんそれでもこの村が襲われるという可能性は否めないので、村の者で話し合って決めてほしい。治療費を払うといっても、それほどお金が必要となるわけではなさそうであるからな」

「承知しました。そちらにつきましては村の者で一度話させていただきたいと思います」

 領主様の言う通り、この村で生活しているとお金は全然必要ないように思える。でも怪我をして困っている人の怪我はできるだけ治してあげたいと思ってしまう。

 エルフの里のみんなが作ってくれた大きな壁があれば盗賊がきても大丈夫だと思うけれど、さすがにこれは村のみんなで相談したほうがいいかもしれない。



「うわあ~お野菜はこうやって実るのですね!」

「うん。僕も最初は知らなかったなあ」

「ワオン」

「ピィ」

 村長さんの家での話が終わって、今はクロウとシロガネと一緒に村の畑をフィオナちゃんに案内している。

「お嬢様、ドレスが汚れてしまいますのでお気を付けください」

「ええ、わかっています」

 もちろん僕たちだけでなく、フィオナちゃんの護衛のミローネさんも一緒だ。前回はだいぶクロウとシロガネを警戒していたみたいだけれど、今回もフィオナちゃんに撫でられても何もしなかった2人にある程度警戒を解いたみたいだ。

 この村には今までよりも大きな壁があって魔物や盗賊なんかが入れないから、畑仕事も安全にできるようになった。

「こっちはコショウの実だよ。収穫する時期によって色や味が変わるんだ」

「そうなのですか。ソラ様はとっても物知りですね!」

「僕も村のみんなに聞いたんだよ」

 フィオナちゃんに畑にある作物を紹介していくけれど、僕もみんなに聞いた情報だ。

 晩ご飯になるまで、畑を案内していった。



「う~む。やはりこの村で収穫した野菜は格別であるな」

「お父様、こっちのお料理もとってもおいしいです!」

 晩ご飯は前と同じように領主様たちと一緒に村の中心にみんなで集まっている。

 みんなおいしそうに村の料理を食べてくれている。

「ふむ、このワインはよいワインじゃな」

「ええ、本当においしいですな」

「気に入ってもらえてよかったです。エールも持ってきておりますから、たくさん飲んでください」

 長老さんと村長さんがおいしそうに紫色の液体を飲んでいる。

 領主様がお土産に持ってきてくれたブドウから作ったワインというお酒みたいだ。

「かあああ! いつも飲んでいるエールよりもうまいぜ!」

 アリオさんたちも領主様が持ってきたエールというお酒を飲んでいる。

 やっぱり領主様たちは最初からこの村といい関係でいるつもりだったみたいだ。

 護衛のみんなもおいしそうに料理を食べているし、やっぱり大勢で食べるご飯はとってもおいしい。