スキル【万能温泉】で、もふもふ聖獣達と始める異世界辺境村おこし。


「お父様から聞いておりましたあのエルフ様なのですね!」

「ルーデンベルク家に伝わるデクルガの災悪のことですか! まさか、そのお方に実際にお会いすることができるとは!」

 フィオナちゃんや護衛のミローネさんたちが驚いている。

 どうやら長老さんのことはルーデンベルク家の人たちに伝えられていたらしい。長老さんって本当にすごいんだ。

「といっても、里の者や共に戦った騎士や冒険者たちの力も借りたがのう。それに当時も伝えたのじゃが、魔物の群れが儂らの里にまでやってきそうだったから協力したにすぎぬよ」

「ですが、それによってルーデンベルク領は救われました。父や当時の者から聞いた話では本当に他の者とは一線を画す、凄まじい魔法であったと聞いております」

「すごいです!」

 領主様とフィオナちゃんがすごい勢いで長老さんやエルフの里のみんなを褒めている。

 エルフの里のみんなの魔法がすごいことは十分すぎるほど見てきたけれど、戦いになるともっとすごいみたいだ。

「まあその話は置いておくとしよう。この壁についてだが、儂らがこの村の者に協力をさせてもらったわけである」

「ヴァリン様がですか!? なるほど、この壁はヴァリン様方が魔法を使って作られていたのですね。道理でこれほど早く強固な壁ができたわけです。そういえば、いったいどうしてこのアゲク村へ?」

「うむ、それについてであるが、儂らもこの村と例の温泉に助けられたことがあってのう。それ以降、こうして恩人であるアゲク村の者とは友好的な関係にある。そしてルーデンベルクの者がこの村を訪れたと聞いて、久しぶりに挨拶させてもらおうと思ったわけでな」

「なるほど……」

 エルフの里のみんなと友好的な関係であるとわかれば、無暗にこの村には手を出してこないだろうという作戦だ。

 もしも長老さんのことを覚えていなかったとしても、短時間でこの大きな壁を作ることができるエルフの里のみんなと友好的な関係にあるこの村には手を出さないだろうというみんなの考えだ。領主様もこの壁を見て、いろいろと考えているのかな。

 立ち話もあれなので、そのまま場所を移して村の方へと進んでいった。

 前回は村の門の前に野営をしていた領主様たちは今回も同じように野営用のテントを張っていく。だけど今はもうひとつ大きな壁があるから、領主様たちも魔物なんかに怯えることはなくなった。魔物が出てもミローネさんたちは強いから大丈夫らしいけれどね。

「ソラ様、クロウちゃん、シロガネちゃん、ご機嫌麗しゅうございます」

「え、え~と……ご機嫌麗しゅうです?」

『ワオン』

『ピィ』

 村長さんの家へ向かいながら、フィオナちゃんが話しかけてきたけれど、なんて返したらいいのかわからなくて変な感じになっちゃった。

「ふふっ、皆様とお会いできて本当に嬉しいです」

 僕にはにっこりと微笑んで、クロウとシロガネを順番に撫でていくフィオナちゃん。フィオナちゃんの笑顔はとっても可愛いくてついドキッとしてしまった。

 もう毒の影響もなくなってすっかり元気になったみたいだし、本当によかったなあ。



「セリシア殿、エルダ殿。みなとこの村の温泉のおかげで娘もすっかりと元気になった。改めてお礼を伝えたい」

「皆様、ありがとうございました」

「本当によかったです」

「ええ、本当によかったですな」

 村長さんの家で領主様と向かい合っている。

 そういえば僕は村長さんの孫という設定でここにいるから忘れないようにしよう。

 領主様、フィオナちゃん、護衛のミローネさんともう2人の護衛がこの場にいる。さすがにエルフの里のみんなは入れないから、長老さんとミリアルさんが代表で家の中にいる。

「今回は例の温泉について改めて調べさせてもらいたい。エルダ殿、2~3日間ほど滞在させてもらってもよいだろうか? もちろん村の者には迷惑をかけぬよう村の外で野営をするつもりだ」

「ええ、もちろんです。水や食事はこちらでご用意させていただきます」

「それは楽しみであるな。以前にここでご馳走になった料理はどれも美味であった」

「とってもおいしかったです!」

 どうやら今回は例の温泉を調べるために数日間滞在するみたいだ。前回来た時には見なかった人がいたから、きっと温泉を調べるために来た人なのかもしれない。

「……さて、例の温泉についていくつか教えてほしいことがあるのだが」

 そして領主様が本題へと入った。