スキル【万能温泉】で、もふもふ聖獣達と始める異世界辺境村おこし。


『ふむ、実に見事なものだな』

「ありがとうございます、クロウ様」

「魔法って本当にすごいね!」

 地面から土がゆっくりと盛り上がって、壁の形を作っていく。以前に壁を作った時よりもゆっくりだ。

 これはじっくりと魔力を込めて作ったほうが、より強固な壁を作ることができるらしい。前回の壁も魔物相手だったらまったく問題なかったけれど、ちゃんとした騎士を相手にする場合はこっちのほうが強いらしい。もちろん騎士の人たちを相手にすることは考えたくないけれど。

 それにしても魔法は本当にすごくて羨ましいなあ。魔法に適性のある人が羨ましい。

「おお~い、そろそろ休憩ですよ」

「は~い」

 クロウとシロガネと一緒に村の真ん中へ戻る。

 この村では夜はみんなで食べるけれど、お昼は各自でとっていく。すでに何人かが交代でお昼を食べていた。

「うん、やっぱりソラくんの温泉のお湯で育てた野菜はおいしいなあ」

「ええ。それにこっちの香辛料も少しピリッとしておいしいわね。マールとラウルには悪いけれど、こっちに残れてラッキーだったわ」

「クルックスの卵やデザートのルミエオレンもありますからね」

 エルフの里のみんなはおいしそうにお昼ご飯を食べている。万能温泉のおかげでたくさんの作物が収穫できるから、エルフの里のみんながいても食料は十分にある。

 みんなお腹いっぱい食べているけれど、魔法を使うとお腹が空くらしいから一杯食べてもあんまり太らないらしい。

 午前中は壁を作っているところを見せてもらっていたけれど、午後は僕もいつもみたいに畑の収穫を頑張ろう。



「ああ~本当にソラくんの温泉は身体に沁みるなあ」

「そうじゃな、普通のお湯よりも遥かに気持ちが良いのう」

「よかったあ」

 一日が終わって晩ご飯を村の真ん中に集まってみんなで食べて、そのあとは一緒に温泉へ入っている。

『相変わらずエルフの者の魔法は実に見事であるな。あの壁ならばそう簡単に破られるものではないであろう』

「ありがとうございます」

 小さくなった姿で一緒に温泉に入っているクロウがあの立派な壁を褒めている。長老さんもクロウに褒められて嬉しそうだ。

 クロウの目から見てもあの壁はすごいらしい。

「馬の足であれば街までかかるので、里から援軍が来て壁を作り上げるほうが早いでしょう」

『うむ。そして以前にはなかった壁があることに驚くであろうな。少なくともこちらのことを多少の脅威には思うはずである』

 いきなり前回来た時にはなかった大きな壁が現れることによって領主様たちもこちらのことを軽く見られないという作戦だ。本当はそんなことをしなくても仲良くできるのが一番いいんだけれど、こっちの世界だとそれは難しいみたいだ。

「本当に何から何まで助かります」

「気にする必要はないぞエルダ殿。ソラ殿のこともあるが、儂らもこうして楽しみながら手伝いをさせてもらっておるからのう。聖天の樹が元に戻り、なんの憂いもなくこうして何かができるのはよいことじゃのう」

「長老の言う通りだ。里はもうすべてそろっていて何もせずとも安全に暮らしていけるからな。新しく何かを作るというのは楽しいものなんだよ」

「ああ、それにうまい飯とこの温泉があるんだから言うことなしだぜ」

 そういえば壁を作ってくれていた人も楽しそうにしていた。エルフのみんなは寿命が他の人よりも長いらしいし、もしかすると里の中でずっと暮らしていくのも暇になっちゃうのかもしれない。

「そうなのですね。遠慮をせずともいつでも村に来ていただいてよかったのですよ」

「おおっ、それはありがたいのう。正直に言うと少し遠慮しておりました。今後も1週間ごとに交代で数人ずつ里の者を滞在させていただけると嬉しいです。もちろん村での仕事は手伝わさせますゆえ」

「ええ、もちろん構いませんよ」

「ソラ殿とクロウ殿もよろしいでしょうか?」

「うん、もちろん! みんながいっぱいいるほうが楽しいもんね!」

『うむ。エルフの里の者であれば信頼もできる。他の者が問題ないようであれば我も問題ない』

「やったあ! それはありがたい」

「ああ。やる気が湧いてきたぞ!」

 いっそのことエルフの里のみんなで引っ越してこの村に住めばいいのにとも思ったけれど、エルフの里には聖天の樹があるから移動はできないんだよね。それに長い間住んだ家や里を離れるのは寂しいから、それくらいがちょうどいいのかもしれない。

 エルフの里のみんなが今まで以上に来てくれるなら僕も嬉しい。