スキル【万能温泉】で、もふもふ聖獣達と始める異世界辺境村おこし。


「昔の話なのじゃが、何十年か前にルーデンベルク子爵家の者には貸しがあってのう。確か4〜50年よりは少なかったと思うのじゃが、細かいところは覚えてなくてのう」

「50年前とはさすがヴァリン殿ですな……」

 長老さんは領主様のことを知っているみたいだったけれど、それよりも長老さんがすごく昔を普通に語っていることに村長さんが驚いている。

 そういえばエルフの人はすごく長生きするんだっけ。……50年っていうと僕がこれまでに生きてきた8年よりもずっと長い気がする。

「じゃが、確か別の名であったから、領主が代わったのかもしれぬ」

「確か今の領主様は40代くらいだったはずです。先代から領主の座を受け継いだはずですな。そうなるとヴァリン殿と約束をしたのは先代という可能性が高そうですな」

「ふむ。先代から儂のことを何か聞いておればよいのじゃがな。まあ、もしも忘れられていたとしても、別の方法で儂らが力になれると思うぞ。儂もこれまで伊達に生きてきたわけではないからのう」

 長老さんには他にもいくつか考えがあるみたいだ。

「長老、お願いします。どうかお力をお貸しください!」

「儂からもどうかお願いします」

「長老さん、お願いします!」

 セリシアさん、村長さん、僕の全員で長老さんにお願いをする。

 僕はまだこの世界に来てから優しくしてくれたみんながいるこの村でみんなと一緒に暮らしたい。

「うむ。もちろんじゃ。ソラくんやこの村の者には恩があるからのう」

「長老、私たちにもできることがあったらなんでも言ってください」

 エルフの里のみんなも協力してくれる。すっごく心強いなあ。





 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
 
「うう……長老ずるいです」

「くそう、どうして俺はあの時右を選ばなかったんだあ!」

 翌日、エルフの里のみんなと一緒に相談をして、しばらくの間エルフの里のみんながアゲク村に協力してくれることになった。

 だけど長老さんたちは予定では明日里に帰る予定だったから、みんなが里に帰らないと他の人たちが心配してしまう。エルフの里に今回のことを伝えるのと里へ応援を呼びに行くため、長老さん以外の人が木の枝で作ったくじを引いて2人を決めた。

「気持ちは分かるが、気を付けるのじゃぞ」

「はい、気を付けながら、最速で帰ってきます!」

「俺もソラくんの温泉に毎日入ってうまいご飯を食べたかったぜ……」

 村を出発する2人はすごく残念そうな表情をしている。よっぽど昨日の温泉と村のご飯がおいしかったみたいだ。

 特に村のごはんの方は前よりもいろんな作物や果物、それに香辛料を育てることができるようになった。それに村のみんなもいろんな料理を作るようになって、たくさんのおいしい料理ができるようになったんだよね。みんなとっても驚いていた。

「マールさん、ラウルさん、気を付けてね」

「いってらっしゃい!」

 僕やローナちゃん、みんなで手を振ってお見送りをする。

「……ええ、そんなことを言っている場合ではないもんね。行きましょう、ラウル」

「ああ。すぐに援軍を連れて戻って来るよ!」

 よくわからないけれど、マールさんとラウルさんはやる気が出たみたいで、エルフの里へ向けて出発していった。



「シロガネ様、これくらいの高さでいかがでしょうか?」

『ええ、これくらいの高さがちょうどいいわ』

「うわあ~こっちの壁もすっごく高いね」

 アゲク村の壁が以前よりも更に高くなっている。以前にエルフの里のみんなが来た時に丸太の壁の上に土魔法で強化してもらった壁を更に強化してもらっている。

 みんなと相談した結果、領主様なら大丈夫だとは思いつつ、力尽くでこのアゲク村を攻めてきた時のためにこの村をさらに強化することになった。

 エルフの里のみんなが協力してくれて、村の周囲にある壁の外側にもうひとつ大きな壁を作っているところだ。