…花舞宵宴のさなか…

天女が舞を舞い、二枝鈴を鳴らす。

若宮は〈花恋結夢歌〉を歌っていた。

…花のりと。花ノ琴と火菊。

…うたうように。
…まふように。

…若宮がうタふ。
　…ウたふ。…うたふ。

　　　…うタふ。

…ヒふミのりとにいい伝わる…
花ノかラくり。

古文書とてらして、花文字を探す。
桜花ははか乃花を一つ

ひとつ摘んで花文字にしゆく。

…美玉でかき記せ。恋ノ花文。


❀❀❀


〈…ほけゑれせあす
てまさにりへめ　うかおゑめくは
たヲぬつわそ　らねきいるしユ

もことちろやなむ　ひふみよみゐ…〉


❀❀❀


…うたう、花ノ舞姫。
…若宮のうた声。…花ふもと。

…宵宮の花。…灯るぼんぼり。

…花鈴をならして。

〈　…鈴すゞ乃火。桜の縁ヒ。
花ケまり。描く花夕…。…ほもれ。

あなたのせい…。会ふわ。

…ス咲乃オ乃ゐ琴…。アメ色の香り。
……誰れそ彼れわ。


…桜木ははき乃野で、火ユり。

ててふヲ結ふ。麻わたの花畑ケ。…夕花。

桜の花に玉ノ理り。へ乃花の君へ。
…たす花文。…結ふはあなたに、

…揺れる碧色の瞳…。


…ぽたん。…ぽたん。

…ぽたん。…ぽたん。

…桜ら乃あ雨め。

アメ灯りの花の香り。うの花。
花鈴の緒を、ユ結うて。

…ゑユみる夕月。たろみた桜ノ花…。

…みゆる、八少女の姿わ
くなは…九つ乃花わたをもって…

…波ノふもとのままに…

…桜花ははか乃野。…桜花ははか乃野。


…約束した桜の舞…
…桜夢ノ端。…花夕。

…五十鈴のオと。揺れる十二単衣。
…ほぬつ。…和みの花…

…忘れないで。

·…わたしヲ。…わたしヲ。

…抱きしめて。…抱きしめて。

…抱きしめて。


…さぁ。さぁら。…らん。らん。

…さぁ。さぁら。…らん。らん。

わたの音。すゞのオと。
…涙の木。五つの夜をこえて。

…矢ヲうつ。
…もし…あなただったら。

…由良ゆら。ユラゆら。
…あなただといいのに。

…由良ゆら。ユラゆら。
…あなたであって。

…由良ゆら。ユラゆら。
…あなただといいのに。

…由良ゆら。ユラゆら。
…あなたであって。

…由良ゆら。ユラゆら。
…由良ゆら。ユラゆら。


…桜花ははか乃野のなか
ふるふ桃色の裳。…桜ノ舞…

…まふ。木ノ花と知る
火ノユラの花。…炉ふを埋めて…。

ゐ二し古ゑより八つ乃花を
…摘むあなた…。

…あなたに会いたい。
…夕恋歌の夢…。


…一二三と唱え、恋ふ火ユら。

…宵宮の火。…花夕。
…ゐすゞ乃音。…ゐる夕火。

この桜花ははか乃花の咲く野で

…もう一ち度、
…あなたに会いたい…

…名わ、ス咲乃オ乃ゐ琴。

…桜花ははか乃野で。

…彼名タ、と。
…彼名タ、と。

…た米ユた米ユに。

…た米ユた米ユに。　〉