第7話
覚悟を決めた、その時だった。
グイッと誰かが俺の腕を掴んだ。
そしてそのままぐるりと景色が回った。
そして……
俺はステージから落ちてはいなかった。
その代わり、俺は篠崎にお姫様抱っこのかたちで抱きが変えられていた。
「先輩、笑顔です」
篠崎が小声で言う。
ああ、そうか。パフォーマンスはまだ終わっていない。
俺はニコッと笑って腕を上げた。
まるで、失敗ではない、落ちそうになるのも予定調和のバランス芸であったかのごとく、自信満々に。
「ありがとうございました!」
そう叫ぶと、拍手がまた起こった。エンディング用のBGMが流れる。
終わった。
一応、無事に。
最後にお姫様抱っこのハメになったけど。助かった。
「あっぶなかったな!」
ステージ袖に戻ると、松木がそう言って睨んできた。
「うん。やっぱもう少し練習しとくべきだったよ」
「篠崎に感謝しろよ。マジでアイツ、お前が倒れた瞬間に走り出したからな」
「ホント早かったですよー。あのスピードいつも出せるなら陸上部にスカウト来ますよ」
溝場も言った。溝場の方もあの時、落ちたクラブが人に当たらないように上手く回収してくれていた。本当、俺はこれから後輩たちに頭が上がらない。
「ところで羽崎先輩、いつまで抱かれたまま飲んですか」
牧原が少し呆れた顔をして言った。俺は言い訳のように言う。
「だって、篠崎が離してくれないんだよ」
そう、篠崎はずっと俺の体を強く掴んでいて、もう離してもいいと言っても全然離してくれないでいる。
「……よかったです」
篠崎が小さく言う。
「怪我が無くて。本当よかった」
泣きそうな篠崎の顔を、俺はそっと片手で触れた。冷たい。
「届いてよかったです。俺、自分が手足が長い事に初めて感謝しました」
「はは、そうだよな。本当ありがとう」
俺がそう言うと、ようやく篠崎は俺を下ろしてくれた。
「とにかく、無事終わってよかった」
「本当ですよ!」
部員皆笑う。
それからすぐに松木達に撤収作業を任せ、俺は町内会長に終わりの挨拶に向かった。
「名津」
向かう途中の人けのない場所で呼ばれて振り向くと、兄貴がキチッとした姿で立っていた。陽射しも暑いのに相変わらず凄い。
「お疲れ様」
「ああ、見てた?」
俺は兄貴に近づいた。兄貴は少し目を細めて、周りに聞いている人がいないか確認すると、いつものような穏やかな口調で言った。
「最後、失敗、したな」
「……失敗、じゃない」
俺は答えた。確かに技は失敗した。でも失敗じゃない。
「ごまかそうとしてたみたいだが失敗だろう。危うく怪我するところだったんじゃないのか」
「う……」
「失敗して怪我したり、万が一病院行きなんてことになったら、会長の責任問題になる可能性がだってあったんだぞ。そういう迷惑を考えているのか」
「……それは……」
兄貴の言うとこはもっともだ。
俺は小さくなった。
「うん。確かにそうだね。今度からは安全管理も気をつけるよ」
「今度から、じゃ駄目なんだ」
兄貴は厳しい顔を向ける。
「今どきは、一度の失敗が噂になり、拡散され、もう取り返しが利かないんだ。父のような仕事では特にそうなんだ。分かっているね。名津みたいに『関係無い人』が起こしたことだとしても、身内というだけで父に迷惑がかかるんだ」
俺は唇を噛んで下を向く。
兄貴の言うことは正しい。それはわかっている。俺が甘いのだ。分かってはいるが……俺は足元がぐらつく感覚に見舞われた。
その時だった。
「羽崎先輩!」
グッと肩を掴まれて振り向くと、篠崎が立っていた。
「撤収作業終わりました。羽崎先輩、会長さんへのご挨拶もう終わりました?」
「あ、いや、まだだ」
「じゃ俺も一緒に行きます」
篠崎はそう言った後、今気づいたかのように兄貴の方を見た。
「えっと……」
「ああ、はじめまして。羽崎名津の兄で、羽崎晴琉と申します。市議会議議員の羽崎真の秘書をしています」
兄貴はニッコリと笑って、ポケットから名刺を取り出して篠崎に渡した。一介の高校生にも丁寧に対応するあたり、さすがである。
「弟がお世話になっております。至らぬ点もありますでしょうが……」
「羽崎先輩はとても良い先輩です」
食い気味に篠崎は言う。高いその背で兄貴を見下ろしているその顔は、とても堂々としていた。
「一生懸命だし、優しいし、かっこいいし。言うことありません」
「そう。それはよかった」
兄貴は口だけ笑ってそう言った。篠崎は続けた。
「それに、羽崎先輩、俺と一緒にやるシンクロの為に、髪まで黒く染めてくれたんですよ」
「……シンクロの為に?」
兄貴が思わず、と言った様子で聞き返した。
そして、俺の方を見て、少しだけ小馬鹿にしたような目を向けてきた。
「ふーん、そう。君の為にね」
「はいっ!そうです」
「そうだったんだね。てっきり会長に挨拶するためにちゃんとした格好をしたんだと思ってたよ。ねえ名津」
「えっ」
急に振られて、俺は一瞬戸惑う。
髪を染めたのは正直兄貴に言われたからだし、篠崎だってその事を知っている。確かに俺は「篠崎の為に黒髪にする」とは言ったが、それは口実であったことは篠崎だって理解しているはずだ。何よりわざわざ兄貴の前で言う必要が分からない。
何言ってんだよ、と言って軽く否定してやるつもりで口を開いた時だった。
篠崎と目が合った。必死な目だった。
――肯定すんなよ、頼むから。
あの時、春に篠崎が大道芸部に見学に来た日、篠崎が馬鹿にされていていた時につい苦言を呈した俺と、同じ目をしていた。
篠崎は、確実に俺の為に言っている。
肯定したら、篠崎を裏切ることになる。そうだ。
「うん、そうだよ」
俺はハッキリと、そしてにこやかに兄貴に言った。
「後輩とのパフォーマンスの為に、篠崎の為に黒髪にしたんだ」
「……そう」
兄貴の顔は笑顔のままだったが、口調は明らかに不快そうだった。しかしすぐに口調もいつもの穏やかなものに戻した。
「後輩想いなんだね。感心したよ」
それだけ言うと、兄貴は踵を返して言ってしまった。
俺は、大きなため息をついて、ついしゃがみこんだ。
「すみません、出しゃばった真似を……」
「本当だよ」
俺は篠崎の目が見れなかった。
「……あんまり見られたくない場面だったなぁ」
「すみません……」
篠崎も俺の隣にしゃがみ込んだ。
「ごめんなさい。その、出しゃばるつもりじゃなかったんです。でも、その……怪我しそうになったのは羽崎先輩なのに、その心配は一切しないとことか、羽崎先輩家族なのに『関係ない人』とか言っちゃうとことか見てたら、なんかこう……イーっ!ってやっちゃって……それに……」
そう言って、篠崎は俺の頭を隠すように抱きしめた。
「すみません……その」
「俺が泣きそうなのに気づいちゃった?」
「……はい」
「そっか」
俺は篠崎に抱かれたままになっていたが、ふ、とその腕の力が緩んだと思うと、目の前に篠崎の顔が近づいてきた。
「しのざ……」
そのまま、キスされた。
一瞬の軽いキスだった。
「しの……ざ……き?」
篠崎は何も言わなかった。真面目な顔で、ただ顔を赤くしている。
「今のって……」
「すみません。キスです」
「うん、それはわかる」
「すみません」
「何で?」
「好きだから」
「……ずっと好きだって言ってたのは……その、そういう意味の好きだった?」
「そうです」
篠崎は真剣な顔だった。
正直、薄々は感じていた。篠崎が俺のことを、単なる先輩として好いてるだけでは無いことを。
でも、まさか。その、キスするっていうのは……。
「嫌でしたか?」
「え、へ?」
「俺にキスされて嫌でしたか」
そんな真っ直ぐな目で見ないでほしい。俺は思わず目を逸らそうとしたが、篠崎はそれをゆるさなかった。
「嫌……かって言うと……。嫌じゃない」
嫌ではない。戸惑ってはいるけど。
「嫌じゃないなら、それだけでいいです」
篠崎はそう言って、俺を解放した。
「お、おい……それだけって……」
「え、お付き合いしてくれるんですか?」
「えっ……?」
「ほら、無理しなくていいです。いつも通り、俺は羽崎先輩が好きで、羽崎先輩は俺が嫌じゃなければいいんです」
そう言うと、篠崎は俺の手を取って立ち上がらせた。
「それでいいって言われても…………あっ!!」
俺は大事な事を思い出して慌てた。
「やば!早く会長のとこ挨拶行かなきゃ!」
「あ、それなら宮本さんがもう行ってますよ」
あっさりと言われて俺はぽかんとする。
「え?何で?」
「えっと、松木先輩が、『来年も同じイベントあるかもしれないんだから、後輩のお前らも一応挨拶ついていけ』って言われて、俺と宮本先輩で羽崎先輩を追いかけたんですよ。で、羽崎先輩がなんかあの人に連れて行かれたんで。宮本さんが先に挨拶行ってきちゃおーって行っちゃったんで、俺は羽崎先輩の元へ」
「はあ」
俺は脱力する。
「いや、まあ助かったけど」
「いい後輩たちでしょう」
「全くだ」
俺は篠崎と一緒に皆の元へ帰る。
さっき篠崎に言われた事を、少し考え込みながら。
覚悟を決めた、その時だった。
グイッと誰かが俺の腕を掴んだ。
そしてそのままぐるりと景色が回った。
そして……
俺はステージから落ちてはいなかった。
その代わり、俺は篠崎にお姫様抱っこのかたちで抱きが変えられていた。
「先輩、笑顔です」
篠崎が小声で言う。
ああ、そうか。パフォーマンスはまだ終わっていない。
俺はニコッと笑って腕を上げた。
まるで、失敗ではない、落ちそうになるのも予定調和のバランス芸であったかのごとく、自信満々に。
「ありがとうございました!」
そう叫ぶと、拍手がまた起こった。エンディング用のBGMが流れる。
終わった。
一応、無事に。
最後にお姫様抱っこのハメになったけど。助かった。
「あっぶなかったな!」
ステージ袖に戻ると、松木がそう言って睨んできた。
「うん。やっぱもう少し練習しとくべきだったよ」
「篠崎に感謝しろよ。マジでアイツ、お前が倒れた瞬間に走り出したからな」
「ホント早かったですよー。あのスピードいつも出せるなら陸上部にスカウト来ますよ」
溝場も言った。溝場の方もあの時、落ちたクラブが人に当たらないように上手く回収してくれていた。本当、俺はこれから後輩たちに頭が上がらない。
「ところで羽崎先輩、いつまで抱かれたまま飲んですか」
牧原が少し呆れた顔をして言った。俺は言い訳のように言う。
「だって、篠崎が離してくれないんだよ」
そう、篠崎はずっと俺の体を強く掴んでいて、もう離してもいいと言っても全然離してくれないでいる。
「……よかったです」
篠崎が小さく言う。
「怪我が無くて。本当よかった」
泣きそうな篠崎の顔を、俺はそっと片手で触れた。冷たい。
「届いてよかったです。俺、自分が手足が長い事に初めて感謝しました」
「はは、そうだよな。本当ありがとう」
俺がそう言うと、ようやく篠崎は俺を下ろしてくれた。
「とにかく、無事終わってよかった」
「本当ですよ!」
部員皆笑う。
それからすぐに松木達に撤収作業を任せ、俺は町内会長に終わりの挨拶に向かった。
「名津」
向かう途中の人けのない場所で呼ばれて振り向くと、兄貴がキチッとした姿で立っていた。陽射しも暑いのに相変わらず凄い。
「お疲れ様」
「ああ、見てた?」
俺は兄貴に近づいた。兄貴は少し目を細めて、周りに聞いている人がいないか確認すると、いつものような穏やかな口調で言った。
「最後、失敗、したな」
「……失敗、じゃない」
俺は答えた。確かに技は失敗した。でも失敗じゃない。
「ごまかそうとしてたみたいだが失敗だろう。危うく怪我するところだったんじゃないのか」
「う……」
「失敗して怪我したり、万が一病院行きなんてことになったら、会長の責任問題になる可能性がだってあったんだぞ。そういう迷惑を考えているのか」
「……それは……」
兄貴の言うとこはもっともだ。
俺は小さくなった。
「うん。確かにそうだね。今度からは安全管理も気をつけるよ」
「今度から、じゃ駄目なんだ」
兄貴は厳しい顔を向ける。
「今どきは、一度の失敗が噂になり、拡散され、もう取り返しが利かないんだ。父のような仕事では特にそうなんだ。分かっているね。名津みたいに『関係無い人』が起こしたことだとしても、身内というだけで父に迷惑がかかるんだ」
俺は唇を噛んで下を向く。
兄貴の言うことは正しい。それはわかっている。俺が甘いのだ。分かってはいるが……俺は足元がぐらつく感覚に見舞われた。
その時だった。
「羽崎先輩!」
グッと肩を掴まれて振り向くと、篠崎が立っていた。
「撤収作業終わりました。羽崎先輩、会長さんへのご挨拶もう終わりました?」
「あ、いや、まだだ」
「じゃ俺も一緒に行きます」
篠崎はそう言った後、今気づいたかのように兄貴の方を見た。
「えっと……」
「ああ、はじめまして。羽崎名津の兄で、羽崎晴琉と申します。市議会議議員の羽崎真の秘書をしています」
兄貴はニッコリと笑って、ポケットから名刺を取り出して篠崎に渡した。一介の高校生にも丁寧に対応するあたり、さすがである。
「弟がお世話になっております。至らぬ点もありますでしょうが……」
「羽崎先輩はとても良い先輩です」
食い気味に篠崎は言う。高いその背で兄貴を見下ろしているその顔は、とても堂々としていた。
「一生懸命だし、優しいし、かっこいいし。言うことありません」
「そう。それはよかった」
兄貴は口だけ笑ってそう言った。篠崎は続けた。
「それに、羽崎先輩、俺と一緒にやるシンクロの為に、髪まで黒く染めてくれたんですよ」
「……シンクロの為に?」
兄貴が思わず、と言った様子で聞き返した。
そして、俺の方を見て、少しだけ小馬鹿にしたような目を向けてきた。
「ふーん、そう。君の為にね」
「はいっ!そうです」
「そうだったんだね。てっきり会長に挨拶するためにちゃんとした格好をしたんだと思ってたよ。ねえ名津」
「えっ」
急に振られて、俺は一瞬戸惑う。
髪を染めたのは正直兄貴に言われたからだし、篠崎だってその事を知っている。確かに俺は「篠崎の為に黒髪にする」とは言ったが、それは口実であったことは篠崎だって理解しているはずだ。何よりわざわざ兄貴の前で言う必要が分からない。
何言ってんだよ、と言って軽く否定してやるつもりで口を開いた時だった。
篠崎と目が合った。必死な目だった。
――肯定すんなよ、頼むから。
あの時、春に篠崎が大道芸部に見学に来た日、篠崎が馬鹿にされていていた時につい苦言を呈した俺と、同じ目をしていた。
篠崎は、確実に俺の為に言っている。
肯定したら、篠崎を裏切ることになる。そうだ。
「うん、そうだよ」
俺はハッキリと、そしてにこやかに兄貴に言った。
「後輩とのパフォーマンスの為に、篠崎の為に黒髪にしたんだ」
「……そう」
兄貴の顔は笑顔のままだったが、口調は明らかに不快そうだった。しかしすぐに口調もいつもの穏やかなものに戻した。
「後輩想いなんだね。感心したよ」
それだけ言うと、兄貴は踵を返して言ってしまった。
俺は、大きなため息をついて、ついしゃがみこんだ。
「すみません、出しゃばった真似を……」
「本当だよ」
俺は篠崎の目が見れなかった。
「……あんまり見られたくない場面だったなぁ」
「すみません……」
篠崎も俺の隣にしゃがみ込んだ。
「ごめんなさい。その、出しゃばるつもりじゃなかったんです。でも、その……怪我しそうになったのは羽崎先輩なのに、その心配は一切しないとことか、羽崎先輩家族なのに『関係ない人』とか言っちゃうとことか見てたら、なんかこう……イーっ!ってやっちゃって……それに……」
そう言って、篠崎は俺の頭を隠すように抱きしめた。
「すみません……その」
「俺が泣きそうなのに気づいちゃった?」
「……はい」
「そっか」
俺は篠崎に抱かれたままになっていたが、ふ、とその腕の力が緩んだと思うと、目の前に篠崎の顔が近づいてきた。
「しのざ……」
そのまま、キスされた。
一瞬の軽いキスだった。
「しの……ざ……き?」
篠崎は何も言わなかった。真面目な顔で、ただ顔を赤くしている。
「今のって……」
「すみません。キスです」
「うん、それはわかる」
「すみません」
「何で?」
「好きだから」
「……ずっと好きだって言ってたのは……その、そういう意味の好きだった?」
「そうです」
篠崎は真剣な顔だった。
正直、薄々は感じていた。篠崎が俺のことを、単なる先輩として好いてるだけでは無いことを。
でも、まさか。その、キスするっていうのは……。
「嫌でしたか?」
「え、へ?」
「俺にキスされて嫌でしたか」
そんな真っ直ぐな目で見ないでほしい。俺は思わず目を逸らそうとしたが、篠崎はそれをゆるさなかった。
「嫌……かって言うと……。嫌じゃない」
嫌ではない。戸惑ってはいるけど。
「嫌じゃないなら、それだけでいいです」
篠崎はそう言って、俺を解放した。
「お、おい……それだけって……」
「え、お付き合いしてくれるんですか?」
「えっ……?」
「ほら、無理しなくていいです。いつも通り、俺は羽崎先輩が好きで、羽崎先輩は俺が嫌じゃなければいいんです」
そう言うと、篠崎は俺の手を取って立ち上がらせた。
「それでいいって言われても…………あっ!!」
俺は大事な事を思い出して慌てた。
「やば!早く会長のとこ挨拶行かなきゃ!」
「あ、それなら宮本さんがもう行ってますよ」
あっさりと言われて俺はぽかんとする。
「え?何で?」
「えっと、松木先輩が、『来年も同じイベントあるかもしれないんだから、後輩のお前らも一応挨拶ついていけ』って言われて、俺と宮本先輩で羽崎先輩を追いかけたんですよ。で、羽崎先輩がなんかあの人に連れて行かれたんで。宮本さんが先に挨拶行ってきちゃおーって行っちゃったんで、俺は羽崎先輩の元へ」
「はあ」
俺は脱力する。
「いや、まあ助かったけど」
「いい後輩たちでしょう」
「全くだ」
俺は篠崎と一緒に皆の元へ帰る。
さっき篠崎に言われた事を、少し考え込みながら。
