件名 『凍結の刻』につきまして 毛利
近藤宗近先生
今回は弊社の面倒ごとに巻き込む形になってしまい本当に申し訳ございません。
マスコミ取材者が先生のもとにも押し寄せているとのこと、ご迷惑と存じますが
もうしばらくご辛抱いただくしかないようです。
弊社の電話も鳴りっぱなしで仕事にならない状況です。
事務局長は『彼の地へ』を刊行すると申しております。
この騒ぎを鎮めるにはそれしかないと申しておりますが、ただの便乗商法なのは明白です。
さっそく佐倉しのぶと面会して出版契約まで取ってきました。
私はなんとも言えない気持ちです。
殺人、監禁、そんな犯罪行為を犯したかもしれない人が書いたもの、
いくら傑作と言っても、本当に世に出して良いのでしょうか?
その人の思想は世に広げて良いものでしょうか?
佐倉しのぶは『彼の地へ』が弊社で受賞しなかったのは下読みの見る目がなかったからだと言ったそうです。
そうかもしれません。
ですがもしかしたら、下読みをした人が(誰かはわかりませんが)佐倉しのぶの犯罪性を見抜き恐れたとは考えられないでしょうか。
見る目がありすぎたのだとは。
『凍結の刻』という作品が気にはなります。先生がおっしゃるなら素晴らしい作品なのでしょう。
私も編集者として傑作を手掛けたいという思いはあります。
ですがもうこの件に関わりたくないというのが本音です。
疲れました。
今なら、どこの出版社でも佐倉しのぶの作品は、喉から手が出るほど欲しいものだと思います。
他社に話を持って行っていただけないでしょうか。
よろしくお願いいたします。
毛利真琴
近藤宗近先生
今回は弊社の面倒ごとに巻き込む形になってしまい本当に申し訳ございません。
マスコミ取材者が先生のもとにも押し寄せているとのこと、ご迷惑と存じますが
もうしばらくご辛抱いただくしかないようです。
弊社の電話も鳴りっぱなしで仕事にならない状況です。
事務局長は『彼の地へ』を刊行すると申しております。
この騒ぎを鎮めるにはそれしかないと申しておりますが、ただの便乗商法なのは明白です。
さっそく佐倉しのぶと面会して出版契約まで取ってきました。
私はなんとも言えない気持ちです。
殺人、監禁、そんな犯罪行為を犯したかもしれない人が書いたもの、
いくら傑作と言っても、本当に世に出して良いのでしょうか?
その人の思想は世に広げて良いものでしょうか?
佐倉しのぶは『彼の地へ』が弊社で受賞しなかったのは下読みの見る目がなかったからだと言ったそうです。
そうかもしれません。
ですがもしかしたら、下読みをした人が(誰かはわかりませんが)佐倉しのぶの犯罪性を見抜き恐れたとは考えられないでしょうか。
見る目がありすぎたのだとは。
『凍結の刻』という作品が気にはなります。先生がおっしゃるなら素晴らしい作品なのでしょう。
私も編集者として傑作を手掛けたいという思いはあります。
ですがもうこの件に関わりたくないというのが本音です。
疲れました。
今なら、どこの出版社でも佐倉しのぶの作品は、喉から手が出るほど欲しいものだと思います。
他社に話を持って行っていただけないでしょうか。
よろしくお願いいたします。
毛利真琴



