ホテルから家に帰った後、私は姫に言った。
「姫…。蒼空くんのこと、どうするの?」
そんなことあまり言いたくないけど、蒼空くんだってアイドルだし…
事務所的にもまずいんじゃないかな。
「引退、するしかないか~」
いつもと同じ口調で言う姫だけど、声には「張り」があって、かっこよかった。
「姫、引退しちゃうの?そんなにはっきり…」
「しない!」
「えっ?」
「引退、しないよ!相沢姫莉は引退なんかしない!」
冗談を言っているのか、姫の声は裏返っている。
姫が引退することになったら、もちろんファンの人たちは悲しむだろうな。
しかも、蒼空くんまで引退することになるんだろう。
私の推し活の行方は…(涙)
「姫、引退しないで!」
私ははっきりと言った。姫が引退したら、私はどうなってしまうの?
ひとりじゃ無理だよ…。こんな私なんかじゃ。
昔の私に戻っている。嫌だよ、もう負けないって言ったじゃん。
自分に、嘘をつかないって。
揺るぎない炎に火が付いた気がした。弱気じゃいられない。
姫に恩返しするって、約束したから。
「でも、日葵ちゃん。このまま私がアイドル続けてたらどうなると思う~?」
「あっ」
当たり前のことに気づいた。このまま姫がアイドルを続けてたら。
姫の評判は最悪になるだろうな。炎上もしてしまうかも。
やっぱり、ここは引退した方がいいのかもしれない。姫のメンタルのために。
「日葵ちゃん!いいこと思いついた!」
「何?」
「日葵ちゃんがアイドルデビューしたら、私が引退するの~」
私がデビューしたら。オーディションを受けるのか。
なかなかいい案かもしれない。でも、姫は引退してしまうのか。
「いいけど…。今、オーディションとかしてるの?」
「やってますよ~‼」
スマホの画面を見せてくる姫。そこには「ガールズグループオーディション」と書いてある。
「私が所属してる事務所のオーディションだよ♡」
自慢げに胸を張る姫を見ると、やっぱり変われてよかったと思う。
昔の私だったら「無理だよ、絶対!」と拒否していただろう。
でも、ちょっとでも「やりたいな」と思える今の私に成長を感じる。
蓮が言ってたな。
「俺、成長してるのかな?」って。でも、蓮は成長してるよ。
こうして、今の私があるんだから。
蓮のことは素直に好きだし、アイドルを始めたから恋愛を諦める訳ではない。
付き合わないだけ。カップルにならないだけ。
だから、姫も立ち直れるのかな。
でも、こうしてチャンスをもらえたんだから、頑張りたいな。
姫、蓮、待っててね。
あなたたちの世界に、少しでも近づけるように頑張るから。
「姫…。蒼空くんのこと、どうするの?」
そんなことあまり言いたくないけど、蒼空くんだってアイドルだし…
事務所的にもまずいんじゃないかな。
「引退、するしかないか~」
いつもと同じ口調で言う姫だけど、声には「張り」があって、かっこよかった。
「姫、引退しちゃうの?そんなにはっきり…」
「しない!」
「えっ?」
「引退、しないよ!相沢姫莉は引退なんかしない!」
冗談を言っているのか、姫の声は裏返っている。
姫が引退することになったら、もちろんファンの人たちは悲しむだろうな。
しかも、蒼空くんまで引退することになるんだろう。
私の推し活の行方は…(涙)
「姫、引退しないで!」
私ははっきりと言った。姫が引退したら、私はどうなってしまうの?
ひとりじゃ無理だよ…。こんな私なんかじゃ。
昔の私に戻っている。嫌だよ、もう負けないって言ったじゃん。
自分に、嘘をつかないって。
揺るぎない炎に火が付いた気がした。弱気じゃいられない。
姫に恩返しするって、約束したから。
「でも、日葵ちゃん。このまま私がアイドル続けてたらどうなると思う~?」
「あっ」
当たり前のことに気づいた。このまま姫がアイドルを続けてたら。
姫の評判は最悪になるだろうな。炎上もしてしまうかも。
やっぱり、ここは引退した方がいいのかもしれない。姫のメンタルのために。
「日葵ちゃん!いいこと思いついた!」
「何?」
「日葵ちゃんがアイドルデビューしたら、私が引退するの~」
私がデビューしたら。オーディションを受けるのか。
なかなかいい案かもしれない。でも、姫は引退してしまうのか。
「いいけど…。今、オーディションとかしてるの?」
「やってますよ~‼」
スマホの画面を見せてくる姫。そこには「ガールズグループオーディション」と書いてある。
「私が所属してる事務所のオーディションだよ♡」
自慢げに胸を張る姫を見ると、やっぱり変われてよかったと思う。
昔の私だったら「無理だよ、絶対!」と拒否していただろう。
でも、ちょっとでも「やりたいな」と思える今の私に成長を感じる。
蓮が言ってたな。
「俺、成長してるのかな?」って。でも、蓮は成長してるよ。
こうして、今の私があるんだから。
蓮のことは素直に好きだし、アイドルを始めたから恋愛を諦める訳ではない。
付き合わないだけ。カップルにならないだけ。
だから、姫も立ち直れるのかな。
でも、こうしてチャンスをもらえたんだから、頑張りたいな。
姫、蓮、待っててね。
あなたたちの世界に、少しでも近づけるように頑張るから。



