怒りに満ちた声と共にギルが本格的に攻撃を開始した。無数の闇の槍が宙を舞い、地面から新たな魔獣が這い出てくる。
「これ以上は……」
エルミナが悲痛な声を漏らした瞬間──
一陣の風が巻き起こった。そして──
ザシュッ!!
突然現れた長身の女性が剣を振るう。それはギルの放った闇の槍を全て斬り払った。
「間に合ったか」
凛とした声と共に現れたのは銀髪の騎士だった。整った顔立ちと鋭い眼光。
「遅いぞ。レティシア」
アッシュがニヤリと笑う。
「状況は把握している。深淵教団七死司祭……まさかこんな所でお目にかかるとは」
レティシアと呼ばれた女性騎士は落ち着いた口調で言うと剣を構えた。
「あなたは……?」
航希の問いかけにレティシアは静かに答える。
「レティシア=エルンスト。グランデリア王国の聖騎士だ」
「グランデリア……」
エルミナが驚きの声を上げる。それは深淵教団と長い戦いを続けている国だと聞いていた。
「さて……七死司祭ギルよ。貴様を捕縛する」
レティシアの宣言と同時に激しい戦いが始まった。ギルの放つ闇の魔術とレティシアの聖剣による光の攻撃が激しくぶつかり合う。
「俺たちも加勢するぞ!」
航希の呼びかけに応じてアッシュとフィオネが動き出す。それぞれの得意とする技術を駆使してギルの魔獣を抑え込もうとする。
「させるか……!」
ギルが両手を広げると周囲に黒い霧が広がった。それによって皆の視界が奪われる。
「くそっ……卑怯だぞ!」
アッシュが叫ぶが霧の中でギルの位置さえ掴めない。
その時──航希の指輪が再び光を放ち始めた。
(これだ……『空間解析』……)
航希が強く念じると頭の中に周囲の地形や人の位置情報が流れ込んでくる。
「みんな……左前方にギルがいる!右からは魔獣が来るぞ!」
その情報に基づいてレティシアが素早く剣を振るう。
「聖なる光よ……我が敵を討て『魔貫光』!」
輝く一閃が霧を切り裂きギルの腕を掠めた。
「ぐっ……小僧……貴様の力か」
ギルが苦悶の表情を浮かべる中で霧が晴れていく。
「航希さん……すごいです!」
エルミナが感嘆の声を上げる一方でギルの目つきは更に険しさを増していた。
「こんなところで終わるわけにはいかない」
ギルが低く唸ると右手の短剣がさらに禍々しい光を放ち始める。
「『禁断開放』……我自身と引き換えに全てを飲み込む闇となれ……」
短剣から膨大なエネルギーが解き放たれる。それは周囲の木々さえも蝕んでいく。
「そんな……自爆技なんて……」
フィオネが青ざめた顔で後ずさる。
「させるか!」
航希は必死に指輪に念を送った。浮かび上がる図形が更に変化していく。
(これは……『力場制御』……?)
航希が強く願った瞬間、透明な障壁が形成されギルの放ったエネルギーを徐々に吸収していく。
「馬鹿な……この力……まさか……」
ギルが信じられないといった表情を浮かべる中で障壁はついに全てのエネルギーを吸収し尽くした。
「航希さん……これは一体……」
アッシュが驚きの声を上げる中で航希自身も呆然としていた。
(俺にこんな力があったなんて……いや……これは指輪が教えてくれたんだ)
その時、障壁の中でエネルギーの核となった部分がゆっくりと実体化していく。
「あれは……宝石?」
エルミナが呟いた瞬間──
宝石は砕け散りそこから眩い光が溢れ出した。
「なっ……!?」
全員が目を覆う中で光は次第に集束し一つの形を作り出す。
「これは……」
現れたのは小さな竜だった。銀色の鱗と蒼い瞳。
「お前は……」
航希が思わず声をかけると竜は優雅に翼を広げた。
「主よ……貴方のお陰で私は解放されました」
澄んだ少年のような声で竜が言う。
「解放……?」
「私は長年封印されておりました。ギルの『禁断の刃』によって……」
エルミナが息を呑む。「それじゃあこの竜さんは……」
「私こそが『守護龍』……深淵の脅威から世界を守る存在です」
アッシュが目を見開く。「伝説の守護龍だって?」
「私の力があれば深淵教団に対抗できるでしょう。どうか共に戦わせてください」
航希は指輪を見つめた。そこには新たな図形が浮かび上がっている。
(これは『契約印』……)
指輪が教えてくれる。この力で守護龍との絆を結べると。
航希は決意した。「分かった。一緒に戦おう」
「ありがとう……主よ」
竜が航希の肩に留まると同時に指輪が再び輝いた。そして新たな能力『竜騎召喚』が解放される。
「さぁ行くぞ!深淵教団に反撃開始だ!」
航希の掛け声と共にアッシュやフィオネそしてレティシアも動き出す。彼らの旅は新たな段階へと進んでいくのであった。
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1週間分近く溜まってたので今日は4話更新しました
「これ以上は……」
エルミナが悲痛な声を漏らした瞬間──
一陣の風が巻き起こった。そして──
ザシュッ!!
突然現れた長身の女性が剣を振るう。それはギルの放った闇の槍を全て斬り払った。
「間に合ったか」
凛とした声と共に現れたのは銀髪の騎士だった。整った顔立ちと鋭い眼光。
「遅いぞ。レティシア」
アッシュがニヤリと笑う。
「状況は把握している。深淵教団七死司祭……まさかこんな所でお目にかかるとは」
レティシアと呼ばれた女性騎士は落ち着いた口調で言うと剣を構えた。
「あなたは……?」
航希の問いかけにレティシアは静かに答える。
「レティシア=エルンスト。グランデリア王国の聖騎士だ」
「グランデリア……」
エルミナが驚きの声を上げる。それは深淵教団と長い戦いを続けている国だと聞いていた。
「さて……七死司祭ギルよ。貴様を捕縛する」
レティシアの宣言と同時に激しい戦いが始まった。ギルの放つ闇の魔術とレティシアの聖剣による光の攻撃が激しくぶつかり合う。
「俺たちも加勢するぞ!」
航希の呼びかけに応じてアッシュとフィオネが動き出す。それぞれの得意とする技術を駆使してギルの魔獣を抑え込もうとする。
「させるか……!」
ギルが両手を広げると周囲に黒い霧が広がった。それによって皆の視界が奪われる。
「くそっ……卑怯だぞ!」
アッシュが叫ぶが霧の中でギルの位置さえ掴めない。
その時──航希の指輪が再び光を放ち始めた。
(これだ……『空間解析』……)
航希が強く念じると頭の中に周囲の地形や人の位置情報が流れ込んでくる。
「みんな……左前方にギルがいる!右からは魔獣が来るぞ!」
その情報に基づいてレティシアが素早く剣を振るう。
「聖なる光よ……我が敵を討て『魔貫光』!」
輝く一閃が霧を切り裂きギルの腕を掠めた。
「ぐっ……小僧……貴様の力か」
ギルが苦悶の表情を浮かべる中で霧が晴れていく。
「航希さん……すごいです!」
エルミナが感嘆の声を上げる一方でギルの目つきは更に険しさを増していた。
「こんなところで終わるわけにはいかない」
ギルが低く唸ると右手の短剣がさらに禍々しい光を放ち始める。
「『禁断開放』……我自身と引き換えに全てを飲み込む闇となれ……」
短剣から膨大なエネルギーが解き放たれる。それは周囲の木々さえも蝕んでいく。
「そんな……自爆技なんて……」
フィオネが青ざめた顔で後ずさる。
「させるか!」
航希は必死に指輪に念を送った。浮かび上がる図形が更に変化していく。
(これは……『力場制御』……?)
航希が強く願った瞬間、透明な障壁が形成されギルの放ったエネルギーを徐々に吸収していく。
「馬鹿な……この力……まさか……」
ギルが信じられないといった表情を浮かべる中で障壁はついに全てのエネルギーを吸収し尽くした。
「航希さん……これは一体……」
アッシュが驚きの声を上げる中で航希自身も呆然としていた。
(俺にこんな力があったなんて……いや……これは指輪が教えてくれたんだ)
その時、障壁の中でエネルギーの核となった部分がゆっくりと実体化していく。
「あれは……宝石?」
エルミナが呟いた瞬間──
宝石は砕け散りそこから眩い光が溢れ出した。
「なっ……!?」
全員が目を覆う中で光は次第に集束し一つの形を作り出す。
「これは……」
現れたのは小さな竜だった。銀色の鱗と蒼い瞳。
「お前は……」
航希が思わず声をかけると竜は優雅に翼を広げた。
「主よ……貴方のお陰で私は解放されました」
澄んだ少年のような声で竜が言う。
「解放……?」
「私は長年封印されておりました。ギルの『禁断の刃』によって……」
エルミナが息を呑む。「それじゃあこの竜さんは……」
「私こそが『守護龍』……深淵の脅威から世界を守る存在です」
アッシュが目を見開く。「伝説の守護龍だって?」
「私の力があれば深淵教団に対抗できるでしょう。どうか共に戦わせてください」
航希は指輪を見つめた。そこには新たな図形が浮かび上がっている。
(これは『契約印』……)
指輪が教えてくれる。この力で守護龍との絆を結べると。
航希は決意した。「分かった。一緒に戦おう」
「ありがとう……主よ」
竜が航希の肩に留まると同時に指輪が再び輝いた。そして新たな能力『竜騎召喚』が解放される。
「さぁ行くぞ!深淵教団に反撃開始だ!」
航希の掛け声と共にアッシュやフィオネそしてレティシアも動き出す。彼らの旅は新たな段階へと進んでいくのであった。
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1週間分近く溜まってたので今日は4話更新しました
