「麻冬の誕生日さ、植物園行かない?」
琴乃がいうと麻冬は、きょと、と不思議そうな顔をした。
「この近くにあったっけ?」
「温室とかもあるとこ見つけた。結構近いよ。」
「行きたい…。」
「よし、決定ね。誕生日当日でいい?ずらそうか?」
「当日あけとく。」
「オッケー。」
麻冬と約束し、琴乃はスマホを口元にあて、うれしそうに笑った。
麻冬の誕生日。
「じゃーん。」
琴乃は手に持っているものを麻冬に見せる。
「あれ、植物園のチケット?」
「そう。私からの誕生日プレゼントはこのチケットです!あ、他にもあるけどね?一個目!」
「やった〜。…あ。」
ゆるく笑う麻冬が、琴乃の横顔を覗きこんで、手を伸ばした。麻冬の長い指が、琴乃の頬を滑り、顔にかかっていた髪を耳にかけた。
「クラゲ。」
麻冬が、琴乃の耳に揺れるクラゲを見つけて笑う。
「つけてきたっ!」
少し恥ずかしそうに琴乃が笑った。
「クラゲのイヤリング、やっぱ似合ってる。」
「ありがと。ワンピースは、また春に、だね。」
「うん。」
そう話しながら植物園に入る。夏に行った水族館と違って、冬だが植物園は温かい。それでも2人は手を繋いでいた。
植物園をゆっくりまわる2人。
「あ、見て。この花。中から光ってるように見える。」
「リンドウ?」
「リンドウってこれかぁ。昔っから光ってるなぁって思ってた。」
「確かに?そう見えるかも。」
琴乃の言葉に頷きながら、リンドウを覗き込む麻冬。
「そういえば、誕生日だけど、私とおでかけで良かったの?」
琴乃が言う。麻冬は頷いた。
「デートに行ってくるって言ったよ。」
「デートなの?」
「デートみたいだから。」
「そっかぁ〜。デートかぁ。たしかにね。」
琴乃が、えへへと笑いながら、きゅっと手を握り直す。大事な友達の麻冬とのおでかけ。楽しいはずなのに、うれしいはずなのに、麻冬の言葉を聞いたら、なんだか目も顔も熱くって。気を抜いたら、涙が出てしまいそうな気がして、麻冬から少し顔を逸らした。
「あ、琴乃。写真撮ろうよ。」
「写真?いいね。」
麻冬がスマホを取り出した。麻冬は琴乃より少し身長が高い。琴乃は並ぶために少し背伸びした。麻冬はスマホでカメラの画面を見ながら、琴乃に頬を寄せる。すり…と頬が当たる。
「麻冬、なんか猫みたいだね。」
「あたし、犬派。」
「そうなんだ。」
そんなことを言いながら、写真を撮る。
「あとで送ってね。」
「りょうかい。」
麻冬が頷いたのを見て、琴乃が満足そうに笑った。
「麻冬、犬飼ってるの?」
「飼ってるよ。たまに、あたしから、はぷはぷって噛んだふりする。」
「なにそれ〜。」
「なんか好きだと口に入れたくなるんだよね。」
「あれだ、キュートアグレッション。」
「かなぁ。あ、そうだ。琴乃が、あたしより先死んだら内臓ちょうだい。」
「なんだ、その怖い話。」
突然の色々とんでもない話に、琴乃が眉を顰める。
「食べてみる。」
「それはキュートアグレッションではないな…」
ニヤと笑う麻冬の久しぶりの変わり者ぶりを見て、琴乃は頭を抱えた。麻冬はその様子を気にすることなく、話題を変える。
「植物園、いいね。なんか作品につかえそう。」
「麻冬の作品、植物多いもんね。」
「あ…」
「?」
麻冬が、ぎゅっと握る手に力を入れた。麻冬が見る先を見る琴乃。植物園は順路に沿って歩くもので、自然の中を歩くような形になっている。そして、目の前には短いが、洞窟のようなトンネルがあった。
「もしかして…」
琴乃の言葉の先が分かったのか、麻冬はこくりと頷いた。
「狭いとこ苦手…」
「どうする?避けれるかな…」
他の順路が見つからない。琴乃は少し困ってしまった。これは想定外だ。
「や、すぐ通る。」
そういって、手を握ったまま、琴乃の腕を掴む麻冬。麻冬が怖がっているというのに、琴乃は胸がぎゅ〜っと締めつけられた。これが母性本能?と思いながら、早足でトンネルをくぐる。トンネルをくぐり終われば、麻冬はもういつも通りで。普通に手を握り、植物園を楽しんでいた。
「楽しかったね。」
麻冬が言った。
「あ、そうだ!これ!」
琴乃が、カバンから包みを出す。
「お菓子?」
「そう!もう一つの誕生日プレゼント。」
「ありがとう。」
麻冬がうれしそうにプレゼントをカバンにしまった。
「ね、来年もさ、アクアリウム行ったり植物園行ったりしようよ!またクラゲも見たい!」
琴乃がいうと、麻冬は少し恥ずかしそうに笑った。
「…あたしもまた行きたいって思ってた。」
2人はお互いに笑いながら握った手を緩く揺らすのだった。
琴乃がいうと麻冬は、きょと、と不思議そうな顔をした。
「この近くにあったっけ?」
「温室とかもあるとこ見つけた。結構近いよ。」
「行きたい…。」
「よし、決定ね。誕生日当日でいい?ずらそうか?」
「当日あけとく。」
「オッケー。」
麻冬と約束し、琴乃はスマホを口元にあて、うれしそうに笑った。
麻冬の誕生日。
「じゃーん。」
琴乃は手に持っているものを麻冬に見せる。
「あれ、植物園のチケット?」
「そう。私からの誕生日プレゼントはこのチケットです!あ、他にもあるけどね?一個目!」
「やった〜。…あ。」
ゆるく笑う麻冬が、琴乃の横顔を覗きこんで、手を伸ばした。麻冬の長い指が、琴乃の頬を滑り、顔にかかっていた髪を耳にかけた。
「クラゲ。」
麻冬が、琴乃の耳に揺れるクラゲを見つけて笑う。
「つけてきたっ!」
少し恥ずかしそうに琴乃が笑った。
「クラゲのイヤリング、やっぱ似合ってる。」
「ありがと。ワンピースは、また春に、だね。」
「うん。」
そう話しながら植物園に入る。夏に行った水族館と違って、冬だが植物園は温かい。それでも2人は手を繋いでいた。
植物園をゆっくりまわる2人。
「あ、見て。この花。中から光ってるように見える。」
「リンドウ?」
「リンドウってこれかぁ。昔っから光ってるなぁって思ってた。」
「確かに?そう見えるかも。」
琴乃の言葉に頷きながら、リンドウを覗き込む麻冬。
「そういえば、誕生日だけど、私とおでかけで良かったの?」
琴乃が言う。麻冬は頷いた。
「デートに行ってくるって言ったよ。」
「デートなの?」
「デートみたいだから。」
「そっかぁ〜。デートかぁ。たしかにね。」
琴乃が、えへへと笑いながら、きゅっと手を握り直す。大事な友達の麻冬とのおでかけ。楽しいはずなのに、うれしいはずなのに、麻冬の言葉を聞いたら、なんだか目も顔も熱くって。気を抜いたら、涙が出てしまいそうな気がして、麻冬から少し顔を逸らした。
「あ、琴乃。写真撮ろうよ。」
「写真?いいね。」
麻冬がスマホを取り出した。麻冬は琴乃より少し身長が高い。琴乃は並ぶために少し背伸びした。麻冬はスマホでカメラの画面を見ながら、琴乃に頬を寄せる。すり…と頬が当たる。
「麻冬、なんか猫みたいだね。」
「あたし、犬派。」
「そうなんだ。」
そんなことを言いながら、写真を撮る。
「あとで送ってね。」
「りょうかい。」
麻冬が頷いたのを見て、琴乃が満足そうに笑った。
「麻冬、犬飼ってるの?」
「飼ってるよ。たまに、あたしから、はぷはぷって噛んだふりする。」
「なにそれ〜。」
「なんか好きだと口に入れたくなるんだよね。」
「あれだ、キュートアグレッション。」
「かなぁ。あ、そうだ。琴乃が、あたしより先死んだら内臓ちょうだい。」
「なんだ、その怖い話。」
突然の色々とんでもない話に、琴乃が眉を顰める。
「食べてみる。」
「それはキュートアグレッションではないな…」
ニヤと笑う麻冬の久しぶりの変わり者ぶりを見て、琴乃は頭を抱えた。麻冬はその様子を気にすることなく、話題を変える。
「植物園、いいね。なんか作品につかえそう。」
「麻冬の作品、植物多いもんね。」
「あ…」
「?」
麻冬が、ぎゅっと握る手に力を入れた。麻冬が見る先を見る琴乃。植物園は順路に沿って歩くもので、自然の中を歩くような形になっている。そして、目の前には短いが、洞窟のようなトンネルがあった。
「もしかして…」
琴乃の言葉の先が分かったのか、麻冬はこくりと頷いた。
「狭いとこ苦手…」
「どうする?避けれるかな…」
他の順路が見つからない。琴乃は少し困ってしまった。これは想定外だ。
「や、すぐ通る。」
そういって、手を握ったまま、琴乃の腕を掴む麻冬。麻冬が怖がっているというのに、琴乃は胸がぎゅ〜っと締めつけられた。これが母性本能?と思いながら、早足でトンネルをくぐる。トンネルをくぐり終われば、麻冬はもういつも通りで。普通に手を握り、植物園を楽しんでいた。
「楽しかったね。」
麻冬が言った。
「あ、そうだ!これ!」
琴乃が、カバンから包みを出す。
「お菓子?」
「そう!もう一つの誕生日プレゼント。」
「ありがとう。」
麻冬がうれしそうにプレゼントをカバンにしまった。
「ね、来年もさ、アクアリウム行ったり植物園行ったりしようよ!またクラゲも見たい!」
琴乃がいうと、麻冬は少し恥ずかしそうに笑った。
「…あたしもまた行きたいって思ってた。」
2人はお互いに笑いながら握った手を緩く揺らすのだった。



