やったーーーーーーーー!
澪は心の中で叫びながら、廊下を速足で歩いていた。叫ぶものの、興奮がひどくて、ちっとも喜びがわかない。よくわからないけど、やったんだ。これでお金がもらえる!やり直せる!
部屋に入り、うろうろと辺りを歩き回った。落ち着かない。
今夜っていつ、今日の夜か。澪はすっかり混乱していた。
どうしようどうしよう、でも何とかなるよね。みんなしてることだし、目をつぶって我慢してれば、いいんだよね?
指をかんだり、もんだり、そわそわする気持ちをどうにか落ち着けようとする。深呼吸をしたり、顔を叩いたり、しまいにはどうにもならず、澪は畳に倒れ込んだ。
「はあ……」
怖い。
いきなり怖くなってきた。
今から子供を作って、産む。それってどういうこと?
『知らない奴の子どもを産むんだよ』
巧の言葉がよみがえる。うん、ごめんね巧。本当に馬鹿だった。何も考えてなかった。
いざ手に入るって思ったら、おじけづくなんて馬鹿だ。
大丈夫。皆してることだ。きっと私にだってできる。涙が浮かぶのを必死に手で拭った。
「そうだよ。人生やり直せるんだ。何も怖いことじゃないじゃん……」
澪が自分を勇気づけていると、ふすまが開いた。
えっもう?――振り返って、目を見開いた。そこにいたのは奏美たちだった。



