駅のホーム、最後尾のベンチで、僕はまだ君のことを待ってる。たぶん、今日も来ないってわかってる。
でも、君を諦める理由を、まだ誰にも教えてもらっていない。

別れた理由だって、本当は曖昧だった。
「ごめん、私、ちゃんと君のこと好きか分からなくなった」
君はそう言ったけど、その声は震えていたし、手はずっとポケットの中で握りしめられてた。

好きじゃなくなった人が、そんなふうに泣くんだろうか。
別れ際、後ろを振り向く人が、前しか見てないなんて言えるんだろうか。

あれから二年。僕のスマホには、まだ君のLINEが残ってる。打ちかけては消したメッセージの上に、「最後の既読」がぽつんと灯ってる。
誰かに聞きたい。

どうして人は、好きな人をあきらめなきゃいけないのか、「もう時間が経ったから」とか、「新しい恋をしなきゃ」とか、そんな正論のどこに、君を忘れる力があるっていうんだ。


ねえ。誰か、「君を諦める理由」を僕に教えてほしい。それが本当に正しいものなら――僕は、やっと君を手放せるかもしれない。