たまに見るんだ。
君がまだ隣にいる、選ばなかった未来の夢を。

休日の朝、眠そうな目で「コーヒー淹れて」と笑う君。
冬の帰り道、マフラーを貸し合ってふざけ合う僕ら。
ケンカをしても、手を離さずにいられた日々。

どれも、現実には存在しなかったはずの記憶。
だけど夢の中の僕らは、あまりにも自然に、あまりにも幸せそうで――
目が覚めたあと、しばらく涙が止まらない。

君と別れたのは、仕方のないことだった。
進みたい道が違って、タイミングも合わなくて、「お互いのために」って、大人ぶった言葉でまとめたけど、本当は、ただ君を失うのが怖かっただけ。

一緒にいれば、ぶつかる日も来る。
傷つけてしまう日も、傷つけられる日も。
でも夢の中の僕は、それでも君を選び続けていた。

何度転んでも、君の手を離さなかった。
そして、君もまた、僕を笑って叱って、愛してくれていた。

現実の僕らは、別々の場所で生きている。
君はもう、別の誰かと歩いているかもしれない。

でも......

君が選ばなかった未来で、
僕はまだ、君を好きでいる。

今でも、あの夢の続きを願いながら