「もしさ、俺と付き合ったらどうする?」

帰り道、コンビニのアイスを食べながら、急にそんなことを言い出した彼に、私はちょっとだけ驚いて、ちょっとだけ笑った。

「なにそれ、急に」

「いや、もしもの話だよ。ほら、そういうのって盛り上がるじゃん?」

私は少し考えてから、

「うーん、じゃあ、朝はおはようのLINEをちゃんと送るかな」

と答えると、彼は嬉しそうにアイスの棒をくるくる回した。

「俺は、寝る時おやすみってLINEを送るかな」

「マネしてるの? なんかかわいいね」

「かわいいってやめろよ」

私はまた笑った。
だけど、ふと気づく。
もしものはずなのに、なんでこんなにドキドキしてるんだろう。

「……他には、何する?」

次は私から聞いてみた。

「うーん、ちゃんと好きって毎日伝えるかな」

「好きって?」

「……もしもの話だってば」

そう言って笑う彼の横顔を見てたら、もうわかってた。
これ、全部“もしも”じゃない。

彼は本当は、きっともう、私のこと好きなんだ。
そして私も、きっともう、彼のこと......

もしもの話なんかじゃない。
この帰り道の全部が、
ちゃんとした恋だった。