君を好きになった瞬間、俺は死ぬことが決まっていた。
それは比喩じゃない。

本当に、君を好きになったという事実が、俺の寿命を奪う病気だった。
恋によって命を削るそうだ。
笑えるだろ？

心臓が高鳴るたび、寿命は縮む。
手を繋げば、残りの日々が減っていく。
そして、キスをしたら、もう戻れない。

だから僕は、気づかないふりをした。
君に惹かれていく気持ちも、触れたい衝動も、全部押し殺した。

でも、ある日。
君は俺に聞いた。
「どうして私のこと、避けるの？」って。
その声が震えていて、目が赤くて、もう耐えられなかった。

気づいたら、抱きしめていた。
そして、そのまま唇を重ねた。
その瞬間、胸の奥で何かが静かに壊れた。
息が苦しいのに、不思議と怖くなかった。

だって、死ぬなら君を好きなままでいい。
それ以上の生き方なんて、俺にはなかったから。