「なあ、今度の休み、どっか行く?」

「うーん......家でだらだらでもいいけど?」

ソファに沈みながら、君は俺のパーカーを勝手に着て、ポテチを食べてる。

付き合ってるっていうより、長年一緒に暮らしてる幼なじみみたいな距離感だ。
でも、それが心地いい。

「お前、デート感ゼロだな」

「え、だって私たち親友でしょ?」

「いや、恋人だろ」

「恋人だけど、親友だね」

そう言って笑う顔が、たまらなく好きだ。

くだらない話で一晩中笑えるし、深刻な悩みも本気で聞き合える。
好きと言頼が、ちゃんと同じくらいある。

「......でもさ」

「ん?」

「やっぱり恋人感も欲しい」

そう言って近づくと、君は目を瞬かせて、

「急に何、そういうの反則」

頬を真っ赤にして、少しだけ目をそらした。

その照れ方も、もう何年も知ってる。
だから俺は、迷わずキスを落とす。

友達みたいにふざけ合って、恋人みたいに愛し合って。たぶんこの関係が、俺たちのいちばんの理想だ。

恋人という名の親友で、親友という名の恋人です。