「え。なに、それ……」
告白を盗み聞きしていたことに対して、もっと怒ったり、罵ってきたりするのかと思っていた。
あんまりにもあっさりとしていたから、拍子抜けしてしまった。
でも、淡々と奪われる覚悟をしておけ、と言ってくるなんて、黒谷からの宣戦布告としか思えない。
「たいよー。何ぼーっとしてんの」
軽快に走り去る黒谷の姿を眺めていたら、後ろからやってきた雄太郎がオレの肩をポンっと叩いた。
「いや。なんか黒谷に宣戦布告された気がして」
「え、なんのだよ」
「……いろいろ。ポジションとか人間関係とか、いろいろ」
ポジションどころか、雄太郎まで奪うと言われたなんて、雄太郎本人に言いづらい。
「意味深すぎんだろ」
雄太郎は軽く笑った後、「うーん」と言って小さなため息をついた。
「あのさ、なんつーか。もし黒谷がお前に迷惑かけてたら、その……ごめんな」
雄太郎が気まずそうな顔をして謝ってきた。
軽く頭を掻いて気まずそうに笑う雄太郎の顔を見た瞬間、雄太郎の中に黒谷という特別が生まれたんだって分かった。
「え?なんでオレ黒谷に迷惑かけられんの?」
言ってすぐ、意地の悪い質問をしたと思った。
見当なんてついている。
黒谷にとって、同じポジションであり、雄太郎と仲良くしているオレは邪魔だ。
「まぁ、ちょっと色々あって。あいつが太陽を困らせるようなら俺から言うからさ」
「いいよ。そん時は自分から言えるし」
雄太郎の黒谷を庇うような言い方が妙にイライラする。
雄太郎と黒谷がどんな関係でもいいはずなのに、胸の中がざわざわする。
「そう……だよな。まあ、でも、あいつ頭良いくせに破茶滅茶なとこあるしさ。とにかく、何かあったら俺に言ってよ」
そう言って、雄太郎はさらに困った顔をして笑った。
雄太郎とは10年近く一緒にいて、誰よりも近い存在だと思っていたのに、初めて雄太郎が遠い存在のように感じた。
勝手な思い込みかもしれないけど、好きだと告白した黒谷の方が今の雄太郎との心の距離は近い気がする。
誰にも言えない秘密を共有して仲良くなった……みたいな。
「……わかった」
焦りなのか、不安なのか、このどろりと広がってくる気持ちは何だろう。
心の中を探してみても、この気持ちの名前が見つけらない。
水をたくさん含んだ土を掴もうとしたときのように、感情が手からスルスルとすり抜けるみたいだ。
「まっ、オレ馬鹿だしさ、黒谷に煽られてもあんま気づかないかもなー。だからユウちゃんは心配しなくていいよ」
黒谷の存在のせいで、雄太郎と変な空気になるのも嫌だ。
だから、ひとまず自分の今の気持ちはそっと放っておくことにした。
告白を盗み聞きしていたことに対して、もっと怒ったり、罵ってきたりするのかと思っていた。
あんまりにもあっさりとしていたから、拍子抜けしてしまった。
でも、淡々と奪われる覚悟をしておけ、と言ってくるなんて、黒谷からの宣戦布告としか思えない。
「たいよー。何ぼーっとしてんの」
軽快に走り去る黒谷の姿を眺めていたら、後ろからやってきた雄太郎がオレの肩をポンっと叩いた。
「いや。なんか黒谷に宣戦布告された気がして」
「え、なんのだよ」
「……いろいろ。ポジションとか人間関係とか、いろいろ」
ポジションどころか、雄太郎まで奪うと言われたなんて、雄太郎本人に言いづらい。
「意味深すぎんだろ」
雄太郎は軽く笑った後、「うーん」と言って小さなため息をついた。
「あのさ、なんつーか。もし黒谷がお前に迷惑かけてたら、その……ごめんな」
雄太郎が気まずそうな顔をして謝ってきた。
軽く頭を掻いて気まずそうに笑う雄太郎の顔を見た瞬間、雄太郎の中に黒谷という特別が生まれたんだって分かった。
「え?なんでオレ黒谷に迷惑かけられんの?」
言ってすぐ、意地の悪い質問をしたと思った。
見当なんてついている。
黒谷にとって、同じポジションであり、雄太郎と仲良くしているオレは邪魔だ。
「まぁ、ちょっと色々あって。あいつが太陽を困らせるようなら俺から言うからさ」
「いいよ。そん時は自分から言えるし」
雄太郎の黒谷を庇うような言い方が妙にイライラする。
雄太郎と黒谷がどんな関係でもいいはずなのに、胸の中がざわざわする。
「そう……だよな。まあ、でも、あいつ頭良いくせに破茶滅茶なとこあるしさ。とにかく、何かあったら俺に言ってよ」
そう言って、雄太郎はさらに困った顔をして笑った。
雄太郎とは10年近く一緒にいて、誰よりも近い存在だと思っていたのに、初めて雄太郎が遠い存在のように感じた。
勝手な思い込みかもしれないけど、好きだと告白した黒谷の方が今の雄太郎との心の距離は近い気がする。
誰にも言えない秘密を共有して仲良くなった……みたいな。
「……わかった」
焦りなのか、不安なのか、このどろりと広がってくる気持ちは何だろう。
心の中を探してみても、この気持ちの名前が見つけらない。
水をたくさん含んだ土を掴もうとしたときのように、感情が手からスルスルとすり抜けるみたいだ。
「まっ、オレ馬鹿だしさ、黒谷に煽られてもあんま気づかないかもなー。だからユウちゃんは心配しなくていいよ」
黒谷の存在のせいで、雄太郎と変な空気になるのも嫌だ。
だから、ひとまず自分の今の気持ちはそっと放っておくことにした。



