「河西先輩はっ、ぼ、僕が……その……先輩のこと恋愛的な意味で好きだって言ったら困りますか……」
黒谷の緊張と不安が混ざり合ったような、少し震えた声がした。
(は……?好き?)
死角から頭にボールをぶつけられたような衝撃だった。
もしも雄太郎が男が好きだったら……なんて事を呑気に考えていた頭の中に、黒谷が発した『好き』という二文字が反芻する。
(黒谷はユウちゃんのことが、恋愛的な意味で好き……)
全く予想していなかった展開に、体中を巡る血液の速度が加速する。
男同士で恋愛的な意味ってなに。
ユウちゃんといると、ドキドキするってこと?
恋愛的じゃなかったら好きじゃないってこと?
オレだってユウちゃんのことは好きなんだけど。
理解は追いつかないのに、胸の中がざわざわと騒がしくなってくる。
「黒谷、ありがとな」
ぐるぐる考え込んでいた頭の中に、雄太郎の落ち着いた声が入ってきた。
「好きだって思われるのは別に困らねえけど、黒谷の想いに応えられるかと言われたらできないと思う」
雄太郎は慰めるような優しい声で、黒谷の告白を断った。
(おぉ、そっか……良かった)
黒谷の恋愛的な好きには応えられないってことは、雄太郎は黒谷のことを恋愛的に見てないってことか。
雄太郎が断ったのを聞いて、胸に手を当ててゆっくりと息を吐く。
(ん?)
雄太郎が黒谷の告白を断ったからって、オレは何でホッとしてるのだろう。
そもそも、同じ野球部内で恋愛的に好きとか言い出したら、明日からどうするんだよ。
黒谷は振られた相手とバッテリーを組んで、試合とか練習とかするつもりなのか。
次々と脳内で生み出される疑問が、どれも重要すぎて整理が追いつかない。
大体、雄太郎が告白されているところに遭遇するなんて初めての体験だ。
しかも、男で、同じ野球部の後輩である黒谷に告白されるなんて。
まん丸な月が、あと数日で開花しそうな桜の蕾をそっと照らしているからだろうか。
甘くて、少し苦い会話を繰り広げる雄太郎たちの会話が恋愛ドラマのワンシーンのようで、胸の中が勝手にドキドキしてくる。
「そりゃそうですよね……。で、でもっ、アプローチはしても良いですか?……それで好きになってもらえたら僕の粘り勝ち……みたいな」
黒谷の奮起する声がする。
「それは良いよ。俺が黒谷の行動を勝手に決めていい理由はないだろうし」
「んんっ……はい。迷惑にならないように頑張りますね」
雄太郎が爽やかな声で言い返したと思った瞬間、黒谷の嬉しそうなとろんっとした声が続けて聞こえてきた。
どうせ雄太郎のことだから、頭をポンポンってしたか、ヨシヨシしたのだろう。
告白を断ったのなら、黒谷にアプローチしても良いよなんて言わなければ良いのに。
(黒谷がどんなアプローチしようと、オレと一緒にいる方が楽しいに決まってるじゃん)
さっきまでドキドキしていたはずなのに、雄太郎の曖昧な返事と黒谷の嬉しそうな声のせいで、徐々にモヤモヤへと変わってゆく。
(…………帰ろっ)
ぼんやりと浮かぶ月を見上げながら肌寒さに耐えながら、盗み聞きしているからモヤモヤが広がっていくのだろう。
部屋に帰って、パーカー着て、晩飯を食べたらモヤモヤは無くなるはずだ。
雄太郎と黒谷に気付かれないように、ゆっくりと立ち上がり、寮の玄関に向かう。
チラッとでも振り返ったら、何か音を立ててバレてしまいそうだったから1度も振り返らずに玄関まで行った。
寮に戻ってからは、晩飯を食べても、風呂に入っても、ずっと黒谷の告白のことを考えていた。
風呂から上がってきた雄太郎を見た時には、脳内で黒谷の告白シーンが再生されてしまったぐらいだ。
早めに寝てしまおうとベッドに寝転んだのに、『雄太郎のことはいつから好きだったのかな』とか『アプローチするって何をするつもりだろう』とか、次々と疑問が浮かんできた。
しまいには、恋愛的に好きってことは雄太郎とあれこれしたいってことなのかなとか考え出してしまって、結局寝たのは0時を過ぎていたと思う。
黒谷の緊張と不安が混ざり合ったような、少し震えた声がした。
(は……?好き?)
死角から頭にボールをぶつけられたような衝撃だった。
もしも雄太郎が男が好きだったら……なんて事を呑気に考えていた頭の中に、黒谷が発した『好き』という二文字が反芻する。
(黒谷はユウちゃんのことが、恋愛的な意味で好き……)
全く予想していなかった展開に、体中を巡る血液の速度が加速する。
男同士で恋愛的な意味ってなに。
ユウちゃんといると、ドキドキするってこと?
恋愛的じゃなかったら好きじゃないってこと?
オレだってユウちゃんのことは好きなんだけど。
理解は追いつかないのに、胸の中がざわざわと騒がしくなってくる。
「黒谷、ありがとな」
ぐるぐる考え込んでいた頭の中に、雄太郎の落ち着いた声が入ってきた。
「好きだって思われるのは別に困らねえけど、黒谷の想いに応えられるかと言われたらできないと思う」
雄太郎は慰めるような優しい声で、黒谷の告白を断った。
(おぉ、そっか……良かった)
黒谷の恋愛的な好きには応えられないってことは、雄太郎は黒谷のことを恋愛的に見てないってことか。
雄太郎が断ったのを聞いて、胸に手を当ててゆっくりと息を吐く。
(ん?)
雄太郎が黒谷の告白を断ったからって、オレは何でホッとしてるのだろう。
そもそも、同じ野球部内で恋愛的に好きとか言い出したら、明日からどうするんだよ。
黒谷は振られた相手とバッテリーを組んで、試合とか練習とかするつもりなのか。
次々と脳内で生み出される疑問が、どれも重要すぎて整理が追いつかない。
大体、雄太郎が告白されているところに遭遇するなんて初めての体験だ。
しかも、男で、同じ野球部の後輩である黒谷に告白されるなんて。
まん丸な月が、あと数日で開花しそうな桜の蕾をそっと照らしているからだろうか。
甘くて、少し苦い会話を繰り広げる雄太郎たちの会話が恋愛ドラマのワンシーンのようで、胸の中が勝手にドキドキしてくる。
「そりゃそうですよね……。で、でもっ、アプローチはしても良いですか?……それで好きになってもらえたら僕の粘り勝ち……みたいな」
黒谷の奮起する声がする。
「それは良いよ。俺が黒谷の行動を勝手に決めていい理由はないだろうし」
「んんっ……はい。迷惑にならないように頑張りますね」
雄太郎が爽やかな声で言い返したと思った瞬間、黒谷の嬉しそうなとろんっとした声が続けて聞こえてきた。
どうせ雄太郎のことだから、頭をポンポンってしたか、ヨシヨシしたのだろう。
告白を断ったのなら、黒谷にアプローチしても良いよなんて言わなければ良いのに。
(黒谷がどんなアプローチしようと、オレと一緒にいる方が楽しいに決まってるじゃん)
さっきまでドキドキしていたはずなのに、雄太郎の曖昧な返事と黒谷の嬉しそうな声のせいで、徐々にモヤモヤへと変わってゆく。
(…………帰ろっ)
ぼんやりと浮かぶ月を見上げながら肌寒さに耐えながら、盗み聞きしているからモヤモヤが広がっていくのだろう。
部屋に帰って、パーカー着て、晩飯を食べたらモヤモヤは無くなるはずだ。
雄太郎と黒谷に気付かれないように、ゆっくりと立ち上がり、寮の玄関に向かう。
チラッとでも振り返ったら、何か音を立ててバレてしまいそうだったから1度も振り返らずに玄関まで行った。
寮に戻ってからは、晩飯を食べても、風呂に入っても、ずっと黒谷の告白のことを考えていた。
風呂から上がってきた雄太郎を見た時には、脳内で黒谷の告白シーンが再生されてしまったぐらいだ。
早めに寝てしまおうとベッドに寝転んだのに、『雄太郎のことはいつから好きだったのかな』とか『アプローチするって何をするつもりだろう』とか、次々と疑問が浮かんできた。
しまいには、恋愛的に好きってことは雄太郎とあれこれしたいってことなのかなとか考え出してしまって、結局寝たのは0時を過ぎていたと思う。



