しばらくすると、首からタオルをかけた雄太郎がものすごい勢いで走ってきた。
「太陽っ」
雄太郎はオレの隣にくると、林と黒谷から離れさせるように肩に手を回して軽くオレを引っ張った。
走ってきてすぐにオレを制止しようとするなんて、雄太郎は後輩から『小野寺先輩が黒谷を殴った』とでも聞いたのかもしれない。
「大丈夫か、太陽?」
そう言ってオレを抱き寄せるように引っ張る雄太郎からは、息を整えようと大きく呼吸する音が聞こえる。
「大丈夫だって。オレの問題だし。離して」
不貞腐れたように返事をして、雄太郎の腕の中から逃げようとする。
どう見ても、今の状況はオレが悪いようにしか見えないだろう。
それに、何も知らない林もいる中で、黒谷との言い合いの原因を馬鹿正直にここで言えるわけもないし、上手く言い逃れる言葉も思い浮かばない。
「太陽、待って」
どうにか雄太郎の腕の中から逃げ出そうとするのに、雄太郎の力が強くて逃げられない。
「太陽!ちゃんとお前の言い分も聞くし、俺もちゃんと話すからっ」
いつも冷静で落ち着いているはずの雄太郎の必死な声が耳元で聞こえた。
まっすぐオレだけに向けられた声。
その声を聞いて、オレは雄太郎の腕の中から逃げ出すのを止めた。
「ごめん、林。ちょっと太陽と2人にしてほしい。あとで説明するから」
雄太郎はオレをぎゅっと強く抱きしめたまま言った。
「え?あぁ、いいけど」
林は一瞬、キョトンとしてから軽く返事をする。
「じゃ、黒谷は俺と向こうに行きますか」
「え、でも……」
強制的に言い合いを止められて戸惑う黒谷が、林と雄太郎の顔を交互に見る。
「でもじゃない。お前はお前で俺に喧嘩の原因を説明しろ。ほら、行くぞ」
そう言って、林は黒谷の腕を掴んでぐいぐいと引っ張る。
さすがに雄太郎やキャプテンである林には逆らえないのか、黒谷は一瞬チラッと振り返って雄太郎を見てから歩いて行った。
「太陽っ」
雄太郎はオレの隣にくると、林と黒谷から離れさせるように肩に手を回して軽くオレを引っ張った。
走ってきてすぐにオレを制止しようとするなんて、雄太郎は後輩から『小野寺先輩が黒谷を殴った』とでも聞いたのかもしれない。
「大丈夫か、太陽?」
そう言ってオレを抱き寄せるように引っ張る雄太郎からは、息を整えようと大きく呼吸する音が聞こえる。
「大丈夫だって。オレの問題だし。離して」
不貞腐れたように返事をして、雄太郎の腕の中から逃げようとする。
どう見ても、今の状況はオレが悪いようにしか見えないだろう。
それに、何も知らない林もいる中で、黒谷との言い合いの原因を馬鹿正直にここで言えるわけもないし、上手く言い逃れる言葉も思い浮かばない。
「太陽、待って」
どうにか雄太郎の腕の中から逃げ出そうとするのに、雄太郎の力が強くて逃げられない。
「太陽!ちゃんとお前の言い分も聞くし、俺もちゃんと話すからっ」
いつも冷静で落ち着いているはずの雄太郎の必死な声が耳元で聞こえた。
まっすぐオレだけに向けられた声。
その声を聞いて、オレは雄太郎の腕の中から逃げ出すのを止めた。
「ごめん、林。ちょっと太陽と2人にしてほしい。あとで説明するから」
雄太郎はオレをぎゅっと強く抱きしめたまま言った。
「え?あぁ、いいけど」
林は一瞬、キョトンとしてから軽く返事をする。
「じゃ、黒谷は俺と向こうに行きますか」
「え、でも……」
強制的に言い合いを止められて戸惑う黒谷が、林と雄太郎の顔を交互に見る。
「でもじゃない。お前はお前で俺に喧嘩の原因を説明しろ。ほら、行くぞ」
そう言って、林は黒谷の腕を掴んでぐいぐいと引っ張る。
さすがに雄太郎やキャプテンである林には逆らえないのか、黒谷は一瞬チラッと振り返って雄太郎を見てから歩いて行った。



