同窓会

 一方風山は荒田がどうなったのかも知らず、荒田が送ったのかどうかも解らない資料を見ていた。住所が変わった所へ直接行き確認したのは荒田だけ、しかし彼は完成間際で死に資料は遅れないはず…、察するに彼女が一端をかんでいるに違いないだろう…。
「なる程…あいつ群馬に越していたのか…よし、遠いやつは今日連絡すれば間に合うな。」
 この日は同窓会の日迄三日、荒田が死んでから三日が経っていた。風山は荒田がDVDを送ると言っていたのを思い出しながら、例のDVDを手に取って見ていた。
 これを届けたのは荒田の彼女綾子で、荒田の残したメモ見た為である。
『俺は同窓会に皆出席できる様に、住所が変わったと思う人の所へ行って来る。当分帰れないから、このDVDを風山に送っておいてくれ。』と、卓袱台の上にDVDと共に置かれていて、出掛ける前に同窓会の話をしていた彼女は疑う事無くDVDを送ったのだ。
 風山は荒田から手紙が来るまでDVDが見れて大勢が宴会できる場所を探していた。なかなか見つからなかったが三日もあれば充分である。また、休みが取りにくいであろう職業や性格の人には同窓会の事を事前に伝える事にしておいた。
 そして、それ以外の言い訳上手や休みの取り易い職業の人等は翌日電話する事にした。
まぁ、連絡が取れなくても約束の日だ、周囲がしっかりサポートしてくれるだろう。彼らは十年前に同窓会は前日まで話題にしない&連絡しない(幹事の荒田と風山以外)が、前日は皆協力して絶対に全員出席する事とクラスが全員一致となって約束したのだから。
 …全員の一致、団結力の高いクラスのまとまりが誰かの上に成り立っていた事は置き去りにされ、今その忘れ去られた踏み台が牙を剥いている事に誰も気付くはずがない…。
「ちょ~さ、まじウザくない!?専務の高村っ!」
「ていうかさぁNGだよね!完全にイッてよしだよ。」
「でしょ?…あ、もう卒業の季節なんだ。」
 涼は窓越しに花飾りを付けたままの学生達を羨ましそうに打ち眺めながら、彼女は溜め息を深くついた。何か思い出に浸っている様だ。記憶を巡っている時の遠い目をしている。
「そうだねぇ。」
「そういやぁさ、同窓会ってやったけ?」
 涼は思い出を探りながら言った、恵は目を丸くして答えた。
「何言ってんのよ!?明日でしょ!」
 涼は身を乗り出した、不意を突かれたご様子。
「え~っ!?マジで言ってんの!?」
「マジ!」
 恵は涼を落ち着かせた。
「恵よく覚えてるね。」
「私も昨日まで忘れてたの(笑)」
 涼は不思議な顔をして「昨日まで?」と聞いた、恵はほくそえんだ。
「うん(笑)、風山がさぁ~”明日同窓会だから○○さんとか、ちゃんと誘っておいてくれよ!“って。いきなりだけど、皆で約束したの思い出して。」
「かぁざぁやまぁっ~?!」
 彼女はもはやそれどころではないようだ、二人は顔を見合わせて大きな声で笑った。
 荒田と風山の努力と、皆での約束が身を結んだのか欠席者なしということで始まった。 
 しかし、全ての席が埋まった訳ではなかった。三つ…ちょうど人数分ある席が埋まらない。だが、誰も気に止めるけはいは当然の様にない。当然といえば当然だ。こう言う集まりとかには必ず出席できない人や遅れてくる人がいるものである。いくら結束力が高い集団でもやむ得ない事情が発生するのは止め様がない。
「おー久し振りじゃん恵!!」
 一人の男が恵の方へやってきた、男はあまり顔が変わらないのですぐに誰かわかった。
「ゲェ~あなた矢島君!?ずいぶん派手になったね…。」
 オメガの時計に高級スーツ、グッチの財布…ホストでもやってんのかこいつ。
「お前こそ人の事言えんのかよ?化粧濃いぞ(笑)」
「ひょっとして風山君!?え~っウソッ~!?」
「風山君どれくらい人を呼んだの?風山君が幹事だよね?」
「もちろん、約束通り全員呼んだぜ。て言っても荒田が主幹事だからわかんねぇけどな。」
「荒田君?来てないみたいだよ?」
「そうだな…?なんか住所変わってそうなやつを探すって言ってたから、それに時間かかってんじゃんねぇのか?後二人来てないし、多分そいつら探しているんだろ。」
(でも住所録は届いたしな…、他の用事ができたのかもな…。)
「その内来るっしょ!?」
「そうだね。」
 涼と恵が去った後、一人の女性が風山の腕をつかんだ。
「!?」
「ちょっと風山君…。」
 彼女は目で裏へ行こうと合図した。風山は嫌な予感がしたまま、盛り上がる会場を後にした。会場では幹事がいなくとも勝手にカラオケやパーティゲームが横行していて、誰も二人が抜けたことを気にしなかった。長いテーブルを囲み旧友と語らう…変わった者、変わらぬ者:皆大人へとなっていた。店の人も忙しく料理を出し入れする。
「あのね風山君…、武の事なんだけど…。」
 綾子はとても悲しい表情で彼を見つめていた。ちなみに、武とは荒田の名前である。
「あぁ…今日来てないみたいだけど…?」
「彼…変死したの…。」
 風山は全く状況が飲めなかった。賑やかな会場とあまりにもかけ離れた話だった。
「変死…??」
「私が夜勤に行った後に住所の変わってそうな人の所へ行ったの…。風山君…そのことは知っているわよね…?」
「あっ…あぁ…、電話もらったからな。綾ちゃんが夜勤だった事は知らないけど…。」
「夜勤が終わって家に帰っても誰もいなくて…。」
「荒田と付き合ってたのか?」
「同棲してたの…、彼とは高校から…もうすぐ結婚をしようかって話しもしてた…。」
「そう………か…。」
「夜になっても連絡がなかったわ…、翌朝になって警察から連絡があって…昨日葬儀が終わったばかりなの…。ねぇ…?何か知らない?何でも良いからっ!」
 彼女は風山に掴みかかった、彼は目を丸くして狼狽した。
「しっ…知らねぇよ…!俺は荒田とは別行動だったんだ…。」
「そんな…。」
 彼女は肩を落としてひどく落胆した。
「そうだ…、あのDVD…。」
 風山は自分のバッグからDVDを取り出してきた。
「それ…私が送ったやつだね。」
 このDVDは彼女にとっては遺品になる、彼女は感慨深そうにそっと手に取った。
「彼がこのDVDのラベルを見て同窓会を思い出したのよね…。」
「中身は見てないのか?」
 彼女は首を縦に振った、最後に彼の顔を見たその日の事を思い出している様に感じた。
「私は夜勤だったから…、でも武は見たはずよ?彼、中身を確認するって言ったし。」
「これ、俺も見てないんだ。荒田のやつDVDが面白いって言ってたし…。何か手がかりがあるかもしれない…。」
「うん…そうかもね…。」
「まぁ、今日は同窓会だしこのDVDも盛り上げる為に荒田がくれたんだろ?だったら楽しんでやらなきゃ。」
 風山は暗く落ち込ませるのを嫌がって、彼女を盛り立て会場に戻った。
キャハハハ♪カンチャカンチャ
「お待たせしました、こちらビール七本と盛り合わせ四人前になります(疲)」
「なぁ!そこの大型テレビ、DVDデッキ付いてるけど何かないの?」
「そうだよ、何かねぇのかよっ!」
 二人の男が女性の店員にからむ、店員は顔に嫌気をにじませた。
「すいませんお客様。当店ではDVDの方ご用意しておりませんので、お客様ご自身がご用意して頂く事になっております。」
「ちっ…、こんな事ならAVでも持ってくるんだった。」
 風山は大山と金田の二人に近付いて言った。
「ハハハハ!AVはいくらなんでもな?それよりこれ…覚えてるか?」
 手に持っていた“同窓会“のラベルが貼ってあるDVDを見せて得意気にした。
「何それ?」
「…同窓会って…、今日のことじゃん???」
 確かに、彼女が言うことは的を得ている。と言うか、なぜこのDVDが『同窓会』という題名なのか、不自然なことは揺ぎ無い。荒田がどういう性格であったにしろ、その題名が適当に付けられたものだったのか何なのかは誰にもわからない事と言えそうだ。
「いや~、実は俺にも詳しくわかんねぇんだけど。荒田のやつがこれを送って来たんだ。」
 当然、風山もDVDの正体や真実はまったく知らない。ちょっと困りながら涼に説明した。しかし、涼は荒田と言う名前を聞いて急に抗顔になった。
「あー!あのカメラオタク!?」
「あれ…?今日来てないよね…、荒田くん…。」
 風山は少し顔に蒼褪めを感じたため、必死で笑顔を取り繕った。だが、酒を少しあおっていたためか、皆はその事には気付かなかった。
風「ああ、そうだな。」
大輔「何のDVDか気になるよな…?」
金村「風山中身は見たかのか?」
 風山は首を横に振った。
風「俺は忙しくて見る暇なかったんだ。」
大輔「だったら見ようぜ!デッキあるみたいだしな!」
 一同も同じくそれに同意した。そして大歓声に似た拍手の中DVDはデッキへ…。画面にはリモコンによる操作が表示され、動画が再生された。湧き上がる歓声…
「え~っと今…何だっけ?」 アハハハッ!
 DVDは高校生時代の姿をありありと映しだし、会場は一気に沸いた。
「ゲェ!俺じゃん!」
「うわ~っ!若いし噛みまくり!」
 アハハハハッ…一同に笑いが込み上げる。そして、おぼろげながらに十年前の事をみんな思い出した。普通なら十年前程度の事を忘れる事はないかも知れない。しかし、彼らはしばしば皆で集まって遊んでいた為“一週間前の昼食“程度の記憶レベル。あなたは一週間前の昼食を覚えているだろうか?彼らにとって約束の日は多少豪華になっただけで、カメラが回っていた事以外はいつもの事。だから、約束の日は覚えていても細かい事は十年も経てばすっかり忘れてしまう事、故意的ではなく自然に記憶が劣化したのだ。
「えっと、今日はクラスの皆で遊んでます!」
 恵は咄嗟に顔をそらして赤面していた。
(あっ…!私だ…、こうして改めて見るとかなり恥ずかしいな…。)
「恵ー!昔と今別人じゃ~んっ!?」
「涼だって人の事言えないじゃない(笑)」
 赤面するような映像が次々と飛び出す…、皆の会話も次第に盛り上がる。
(…ただの記録映像だな…。まぁ、突然死なんて珍しくないし。)
 風山は一人そう思い、皆と共に談笑を始めた。綾子も少し気持ちを落ち着けた様だった。
「…あの子…、誰だっけ?」
 突然眉をひそめ涼が呟いた。だが、誰も彼女の問いに答えない。いや、わからないのだ。
「どの子?」
「ほら、あの端の子…。」
 画面の左端に、大人しい暗闇を背に共有させている子が鎮座していた。
「この中にいるーっ!?」
 一同がお互いを確かめ合うが、どうもここにはいないらしい。
「…ひょっとして…友子…?」
 皆は目をぎょっとさせた、そしてせきを切ったように納得を示した。
「そうだよ!友子だよ!」
「思い出したぁっ!」
「そりゃそうだ、お前が一番面倒見てたもんな!」アハハハハ!
「あー、ね。今見てもキモイよね。」
「うん。」
 ビデオのシーンはちょうど友子が罰ゲームをするシーンだった。
「えーっと、今から友子が罰ゲームをします!」
 映像の中と同じ様に盛り上がる会場、本人がいないからか?イジメとは被害者以外にとってはゲームを盛り上げるのに不可欠な要素でしかない。友子の顔がズームアップされ画面一杯に表示され、なぜか今まで止む事のなかった罵声やあおりが一瞬で消え去った。
 まるで、周りには誰一人も存在しない彼女の持つ孤独と言う闇に入り込んだかの様だった。雑音さえない無音の闇は液晶越しに会場を凌駕して、同じ空間を演出していた。
(やけに静かになった…?)
 少し俯いた二つ括りの真面目そうな顔はいつになく暗く、何も提示しない。無音の闇にその蒼褪めた顔だけを画面に浮かべている。突然、そんな彼女の目の動きがおかしくなった。機能を失ったように乱れ眉間によっていった。そうかと思うと今度はその理性のカケラもない黒目だけが中央で激しくブレ始めた。皆、その黒目だけを追い、沈黙したまま微動だにせず、異様な映像に釘付けになっていた。
 中央で焦点を完全に喪失したその目を閉じた瞬間、眉の上に一線の傷が浮かび、鮮血がにじみ出た。眉の上の傷はゆっくり割れて、どこからともなくミチミチと肉が裂ける音が聞えていた。そこから凍てつく様な人間には不要な眼が現れ、全員を睨み付ける。映像なのに目が合う感じがしてたまらない。
「…っ…っ…?イヤァァァ~~~ッッ!!」
 目をそらすことは出来ない、その目の上にある目は死んだ魚の目より淀んでいる。
「なっなんだよこれ!」
 狼狽する一同、背中に貼りいた凍りつく様な恐怖感がいつまでも体を支配する。
「しょうもねーっ!どうせ作り物だろ!」
「知るかよ…!」
「嘘つかないで!グルなんでしょっ!」
「そっ…そうだ!まだ来てない三人と組んでんだろっ!」
 周りが一瞬にして冷めていく、作れそうもない映像に皆否定論しか言えない。そんな戦々恐々する一同の中、ひときわ体を震えさせている女性がいた。
「どうしたの綾子…、さっきから…。」
「荒田君…、この前死んだの。」
 冗談にしては度が過ぎている、場の雰囲気は最悪を超え修復できない状態になっていた。
「ついこの間の事だったわ…。」
 風山は止めるよう目で綾子に合図したが、彼女は話を責務であるかの様に続けた。
「そのDVDが急に出てきて、彼は見たらしいの…私が夜勤に行った後。」
「ちょっと待ってよ…、彼って…?」
「綾子は荒田と同棲してたんだ…、結婚間近かだったんだって…。」
 風山はなぜだかはわからないが、綾子と荒田の関係を説明した。つい先程綾子から聞いた話をさも随分知っているかの様に綾子に代わって皆に説明する。別に荒田はもう死んでいるし、気にする程ではないが…ともかく一同はその話も話題にできないほど恐怖に縛られていた。普通ならこんな話は盛り上がるネタなのに、誰もそうはしなかった。
「そうだったんだ…、それで…?」
 桝田は続きを聞いた。一同も激しい混乱から逃れ様と話の続きを待つ。
「私が夜勤から帰ってくると、机の上にメモがあったわ。そのDVDを風山君に送るように、自分は住所が変わってそうな人の現在の住所を確認しに行くからって…書いてあったわ。でも、火曜の夜になっても彼からは連絡がなかった。私はそれでも住所の変わった人達を探しているのかと思って…、何とも思わなかったわ。」
 綾子の落胆した顔は心痛で歪み、一同に更なる不安を募らせる。
「翌日、警察の人が家に来て…変死したって。」
 誰も彼女の話を阻害せず、人形のように硬直していた。それは、今されている話が恐怖を払拭するどころか増長させる様な嫌な予感が皆していたからである。
「……マジかよ…。」
「私、その後急いで葬儀をしたからあまり詳しい事は聞けなかったけど。水曜の早朝に死亡したって、原因は不明だったわ。」
「ちょっと待てよ!あの住所録は荒田が作った物だろ!?誰が俺に送ってきたんだ?」
「もうやめてっ!イイ加減ウザイッて!」
「そうだよ!こんなつまんねぇイタズラ何が楽しいんだよ!」
 画面の中ではいつも通りイジメが繰り返し行われていた。沈黙と恐怖が占拠する会場に、映像の中の歓声が虚しくこだまする。恵は誰も座らない席を眺めながら言った。
「今日来てない人って荒田君と友子と…、後一人って誰だっけ…?」
「…清津君だよ…、このビデオの撮影者の…。」
「そう言えば荒田と橋田と清津は写真部だったな。」
「僕達は存在薄いほうだったからね…、皆忘れても仕方ないよ。」
「どうせ…そいつも一緒に組んでんだろ?」
 一部の同級生は怒りで恐怖を紛らわせ、現実に背を向けることでわずかな平常心を保っていた。そうする事で強い自分を去勢で良いから作りあげ、恐怖から身を守っている。
「私思い出したよ!確か荒田君があの日は休みで、変わりにカメラを回していたのよね」
「そうだよ、その後死んじゃったけどね。元々清津君は体が良くなかったから、誰も不思議に思わなかったけど…、この動画を撮ったのは清津君だよ…。」
「えっ…?武じゃぁなかったの?」 ※武は荒田の名前です。
「うん…、僕は今でも覚えているよ。久し振りの撮影だって張り切ってた清津君の顔が急に死人みたいに青白くなったのを…。」
 一同はこれ以上ない程に最悪な顔をしていた。もう、恐怖を感じる余裕さえなくなっていた。聞き取れないほど岡本の小さな泣き声が全員の耳と心を激しく痛ませる。
「…恨みなんて言うのかよ…?」
「変なこと言わないでよっっ!!」
「いじめてたやつが言うなよっ!」
「本当ウザイッ!もういいかげんにして!」
「ちょっと落ち着いてよ!」
「どうしてこんなくだらない事思い出さなきゃいけないのよっ!」
 まだ映像の中では、イジメが楽しいゲームとして横行している。
「は~いタバスコジュース♪超おいし~んだから。」 ビシャッ!
 わざとらしく赤く滲んだ液体をこぼす昔の涼…、それを見て笑う過去の自分達…。
「あっごめんねぇ~」
「早く飲まねぇからだよ!」
 笑いに包まれる過去の映像…、全く対照的な今の自分達を支配する闇黙…。
「みんないじめてたじゃん。」
「ちょっ…!人の事言えんの!?」
 涼は冷たい目をしていた…、とても鋭く氷針の如く恵を睨み刺した。
「あなたこそ…。皆もそうだよ。」
 涼はその冷徹な視線を一同に突き刺し、凍える様な零気を漂わせた。
「何がだよ!」
「やってたのお前だけじゃん!」
「傍観者もいじめをしているのと同じよ…。」
 皆怒りをあらわにした、自分達がこんな原因でこんな事になった訳ではないと否定の怒りだ。責任を彼女一人に負わせる為の手段でもある。
「どうしてだよ、おめぇが…。」
「あなた達…見ている事イジメの参加者って事、知らないの?」
「でも何もして…。」
「そう、あなた達は何もせずいつも楽な立場にいた。」
「だから…?」
「助けようとした?止めようとした?あなた達は関係無い顔して笑ってた…。ねぇ知ってる?殺人は直接手を下してなくても…見ていただけでも同罪なのよ?関係ない顔して知らないふりしている…。でも、それこそがイジメ…。」
 誰も反論せずに黙り続けた…。イジメを一つのゲームとして皆で楽しんでいた最低な過去を、一人一人噛み締めている様でもあった…。後悔の極みを共有していた。
 一同がその場で固まっている中、風山は住所録を眺めて言った…。
「そう言えば友子の所も住所変更になってたな…。」
 ポツリとつぶやくと、三つの空席が妙に怪しく見えた。
「なぁ…、きちんと訂正されてるって事は来るんじゃないのか…?」
 誰もが耳をふさぎたい様子だった。顔を沈ませ、恐怖に怯えだし始めていた。
「来るよ、来ていない三人のうち二人は死んでいる訳でしょ?最後の一人は友子しかいないじゃん…。必ず来るよ、他の三人と同じ姿にするためにね…。」
 風山はまくしたてるように帰る準備を仕出した。
「なっなぁっ?会場を変えるって言うか、もういいんじゃね?待っても来なさそうだし。」
 皆の顔が一瞬にして明るくなっていき、息を吹き返した様にざわつきだした。
「それ良いな、もう俺なんか疲れたし。」
 反対する者は居るはずがない、こうして約束の日・同窓会は最悪な余韻を強く残したまま終わりを迎えた…全ては自分達が確かにしたイジメが全ての原因だった。