陰キャ死神公爵にベタ惚れした令嬢のイチャラブ日和

 王城は一度来たことがあるけど、やっぱり荘厳で雅だった。

 なんか無駄に飾られた彫刻とかあるし。
 窓から見えるシャンデリアの色が夜の闇を照らし、とても美しい。
 まぁ、美しさ世界一は旦那様なんですけどぉ~?(謎の煽り)

 私がこの国の支配者になったら、ここの彫像すべて旦那様にするのに……と考えてると、旦那様に声をかけられ、腕を差し出された。

 「……またロクでもないことを考えているだろう? ほら」
 腕を組めという合図だと察し、私はタコの触手の如き素早さで旦那様の腕に手を回す。
 旦那様はビクッ! としていたけど、推しと握手(違)できるなんて夢のよう……! ウフフ……!

 そんな夢見心地で、名前を呼ばれて、しゃなりしゃなりと入城する。
 旦那様に恥はかかせられないから必死に女神の如き振る舞いで邪心(旦那様への邪な心)を隠した。
 自分でも上手く出来たと思う。(自画自賛)

 すると、会場のあちこちから、にこやかな笑顔が飛んでくる。
 貴婦人達が此方を見て微笑んでいた。
 よ、止せよ! もっと祝福しろよ!(煽り)

 と私が思っていると、旦那様から小声で注意をされた。

 「……フン。死神の13人目の妻だと嘲笑されているんだ。格下の嫁しか来なくなった、惨めな公爵だとな」
 「は? どこのアバズレですか? 殺します」

 私が腕まくりをすると、旦那様は「待てー!(小声)」と腕をギッチギチに組んでくる。
 くっ……! 推しの魅力と筋力が素敵! 

 と、こんな状況でも惚れ直していると、一通りのことが終わってから(王様に挨拶したり)旦那様は相変わらずの壁の花になり始めた。
 腕を組み、不機嫌そうな表情で壁に寄りかかっている。公爵がとる態度ではない。でも……。

 陰のオーラが美しいよ……まるで女神が大地にもたらした恵みのようだ……マイ フォーエヴァー……と惚れ直してしまう。

 しかし私は令嬢や貴婦人に囲まれた。
 公爵夫人とはいえ、出自はザコ男爵令嬢だから舐めてかかられているのだろう。ぶっとばすぞ!
 そして質問攻めにあう。

 「公爵様の13人目の奥方様ですわよね」
 「公爵様とは、どのような会話をなさってますの?」

 から始まり、暗に夜はエッチしてんのかとか聞いてきた。
 してね――よ!!(涙)
 こっちは常にヤリたくてたまらないのに背中向けられてんだよ!!(号泣)
 こいつら殴っていい? いいよね? 首の骨、折るわ! エエ音するやろ!
 と考えてると、旦那様が壁際で必死に首を振っていた。

 『暴力行為禁止』
 『暴言禁止』
 『暴走禁止』

 と、3暴を口パクで止めてくる。
 私を新種のモンスターとお思いですか?
 まぁ、旦那様への愛の魔物ですけど♥

 仕方ない。平和的に解決するか……。
 私は扇子を開き、微笑を浮かべて貴婦人達に語りかけた。

 「ええ。もう旦那様ったら甘えん坊で、わたくしがいないと屋敷中を捜し回っておりますのよぉ~。食事は絶対に同じ卓ですしぃ、夜も激しくてぇ~……」

 一応嘘は言っていない。
 私が旦那様の目につかないところだと何をしでかすか分からないから、旦那様は私を捜し回るし、食事は声が聞こえ辛いから超至近距離だし、夜は私の一人寝の嘆きが激しい。

 でも貴婦人達は「夜も激しい……」「夜も……」と、決して顔は悪くないどころか超絶美形の旦那様を見て赤面している。
 おい! その脳内妄想、見せろよ! 今すぐに!

 私が貴婦人達と話していると、旦那様がズカズカ近づいてきて、私の腕を掴んだ。キャ♥
 そして

 「妻が失礼した」

 ボソボソと、それだけ言って共に壁の花になろうとした。
 ていうか、小声でメッチャ怒られた。

 「嘘をつくな! 嘘を!」
 「8割真実です」
 「あとの2割が絶望的に僕の名誉を棄損しているだろう! 夜は激しいとか聞こえたぞ!」
 「私の喘ぎ声(嘆き)が激しいんです!」
 「止めろ! 君の声は大きいんだ! 貴婦人達が好色な眼差しで此方を見ているだろうが!」

 もう見せつけちゃいましょうよ~。
 ☆白い結婚☆とか言われても、こっちは白色求めてないんで~。ドロッドロの暗黒色の結婚でいきましょうよ~。

 ブツブツ言ってると、宴もたけなわな中、ダンスが始まった。