陰キャ死神公爵にベタ惚れした令嬢のイチャラブ日和

クラン様との日々は、アッー! という間に過ぎ、舞踏会の夜となった。
ちなみにまだキスもしてないんだが、どういうことかね。

そして衣装室にて……。

ドレスはクラン様が選んだらしく、可愛らしいピンクのリボンやフリルがついたものだった。

「クラン様って、結構少女シュミなんですね~」

私がドレスを着て大鏡の前で一回転すると、豊かなフリルがふわりと揺れた。
しかし即座にクラン様は「違う!」と怒鳴る。

「君のイメージに合わせたものが、その幼いドレスということだ! フン! どうだ? 年甲斐もなく着せられた少女趣味のドレスは恥ずかしいだろう?」

その少女趣味のドレスの女と歩くのクラン様なんですけど。自爆したいんですか。

嫌がらせのつもりだったのかもしれなくもないけど、そのドレスは本当に私にぴったりだった。
クラン様の概念ドレスじゃないのは残念だけど、灰色のドレスより私の顔色を明るく見せてくれる。

侍女ーズも「奥様、素敵ですわ!」「愛らしい薔薇のよう!」と褒めてくれた。
よ、止せよ! 照れっだろ!(照)

そして何よりもクラン様が忙しい仕事の合間に選んでくれたのかと思うと……おっと! 鼻血が!

鼻血を出しかける私にクラン様や侍女ーズが慌ててハンカチを取り出す。

「汚すなよ! 絶対に汚すなよ!」
それ『フリ』ですクラン様! 止めて!
(何とか鼻血は堪えた)

それからようやく、お城へと向かうことになった。
私はフッカフカの馬車の椅子の上で飛び跳ねながら、向かいの席に座っているクラン様に話しかける。

「クラン様~お城まだですかね~ぼよんぼよん」
「飛び跳ねるな! 馬が可哀相だろ! それと名前で呼ぶことを許可した覚えは無い!」

え? 今更それ言う? ってくらい天然なツンだったけど、私は裏声を駆使して瞳を潤めかせてクラン様に再度アタックする。

「旦那様♥ って呼べってことですよね♥」
「違……」
止めかけるクラン様に私は声帯を駆使して呼びかける。

「きゅるるん旦那様♥(キュート系)ウッフン旦那様♥(セクシー系)オッス旦那様♥(漢声)ゲヘヘ旦那様♥(ゲスモブ声)」
「どれだけ声を使い分けてるんだ君は!」
「声を使い分けれるくらい、だーい好きなんです!」

両腕を拡げて愛を示すと、クラン様こと旦那様はプイとそっぽを向いた。
しかし、窓を見る旦那様の耳は赤い。
長い指を膝の上でトントンしている。
ククク……良い兆候だ……もう一押しで堕ちるな……と私がゲス顔をしている間に、お城についた。

ここからは社交界の噂との戦場!
旦那様に恥をかかせないように、私がしっかりしなくちゃ!