「花奈はどれだけ私から奪えば気が済むの……?」


その問いに花奈はニヤリと笑って言った。

「やだな、奪うなんて。結婚から結構経っているのにお姉ちゃんに子供ができないのが悪いんじゃない」


確かに、それはその通りだった。

結婚から1年が経っているのに子供ができない。

それは、跡継ぎに関わる重要な問題だ。


「だからむしろ、そんなお姉ちゃんに代わって横山家と青柳家を繋いであげているんだから感謝してくれてもいいのよ」


この子はどこまで性格が悪いのだろう。

でも、今の私にそんなことを言う資格などなく、黙っていることしかできなかった。


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そこから私は住んでいた家も花奈に奪われ、実家に帰るしかなくなった。


(また、あの場所に帰らなくてはいけないのか……。)


先ほども言った通り、正直あの家にはいい思い出がない。


それでも帰る家はそこにしかなく、飢え死にするよりは十分にマシだった。


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そこから、半年が経ったある日のことだった。


「小鳥、お前に縁談が来ている」

父がいきなり私を呼び出してそう言った。


「相手の方は、私の前の旦那さまのことを知っているのですか?」


「あぁ、一度離婚していてもいいと。相手の家は言ってくれている」

少し時間が経ってから、父がまた口を開いた。

「ただ、子供のことは言ってないからな。くれぐれも言ってせっかくの縁談を逃すなんてことするなよ」

「承知しました」

頭を下げながら思う。

(きっとお父さまは私のことを物としてしか見られないのでしょう……)


でも、従うしかない。

私はそれほどの存在なのだ。