「小鳥っ! 俺と離婚してくれっ!」

目の前には土下座しているのは私の旦那さまである東堂篤人さま。


「え……?」

唖然とする私の前に妹の花奈が現れて言った。

「篤人さまは私の旦那さまになるの」


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日本の貿易会社を仕切っている一家として有名な青柳家。

その家に生まれたということは幸せ以外のなにものでもない。


きっとみんながそう思っているけれど、私は違う。

なぜなら私は当主と本妻との間の子供ではないからだ。


父は不倫をしていたのだ。

でも別に明治時代と呼ばれる今の日本では、別に対して珍しいことではない。

それでもやはり、愛人との間に生まれた私より、本妻との間に生まれた妹のほうが立場がよくて、私は生まれてからずっと肩身の狭い思いをしていた。

そして、花奈自身、私のことをあまりよく思っていなかった。

小さい頃から、無視をしたり、物を隠されたり、そういう些細な嫌がらせもたくさんされてきた。

それでも両親はそれを黙認した上に、花奈が欲しいと言ったら私の物だって平気で「あげなさい」と言われてきた。

そんな息苦しい家からやっと抜け出して結婚できたはずだったのに……。


まさか、旦那さままで奪られるとは思わなかった。


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