身代わり婚で妖狐の花嫁にされたら溺愛が待っていました!?

 それを境に、沙夜は家族だけではなく、村の人達から虐げられることになる。
 家では使用人のように扱われ、長女とだというのに使い古しの着物と、離れにある小屋で過ごすことに。朝から晩まで掃除、洗濯などをやらせられる。
 他の使用人まで見ないふり。それどころか陰で笑われる始末。
 それだけではない。右目に深い傷を負うってしまった沙夜は、村1番の醜い女として扱われる。
 婚約者で大倉野家と並ぶ名家である二条家の次期後継者・二条雅和(にじょう まさかず)は、そんな彼女を酷く嫌う。すぐさま婚約破棄をして、義妹の美也子と婚約を結び直した。
 美也子が、また沙夜に意地悪をされたと聞かされると、雨であっても構わずに、外に放り出した。

「キャアッ!?」

 放り出させたせいで、腕に擦り傷が出来てしまった。全身ずぶ濡れに。
 雨は容赦なく降り続ける。

「よくも美也子にワザとぶつかったな!? この薄汚い女が」
「ち、違います……私はそんなことしておりません」

 実際にやってはいない。掃除を終えて、すれ違う際に美也子が、自分から転がって騒いだだけだ。
 それでも雅和は、美也子の言葉しか信じない。カッとなった雅和は、バケツに入っていた泥水を沙夜に目がけて、ぶっかけた。

「美也子が噓を言ったと言うのか!? 醜い顔だけではなく、心まで腐りきっているな」

 暴言を吐かれる。それを見ていた美也子はニヤニヤと笑っていた。しかし、すぐに雅和に、目をうるうるとさせながら、
「雅和様。お姉様を許してあげて。このままだとお姉様が風邪をひいてしまうわ。このぐらいのことは私が我慢すれば、いいことだから」と訴えてきた。