それから数ヶ月後。遠くから聞いた噂によると、大倉野家は、大変なことになるなっているらしい。
 父親は村長の座から追放された。それだけではない。朔夜の怒りを買った事が、村の人達を激怒させたらしい。大倉野家の屋敷は燃やされて全て失った。
 今では村の隅の小屋で細々と暮らしているらしい。
 美也子は火傷のせいで、村で一番美しい顔から醜い女として転落した。周りから揶揄されている。今では姿を見せずに小屋に引きこもっているとか。
 そして元婚約者だった雅和は、二条家の次期後継者から廃嫡された。朔夜が、二条家に苦情を言ったことや、周りから批判があったことで。
 雅和も村ではなく、家の中で肩身の狭い思いをしているらしい。
 小町はそれを「因果応報」だと言っていた。沙夜は申し訳なく思ったが、今までのことを考えると仕方がないのかもしれないと思った。
 大妖怪である朔夜を怒らせた結果なのだろう。

 その後。沙夜はいつもの通りに朔夜の住んでいる屋敷で過ごしていた。お腹の子は、無事ですくすくと育っている。
 縁側で大きくなったお腹を優しく撫でると、ボコボコと蹴ってくる。フフッと笑うと、朔夜は沙夜の肩に羽織をかけてくれた。

「こんなところに居ると風邪をひくぞ? 部屋に入ろう」
「はい、朔夜様」

 沙夜はニコッと微笑むと、一緒に部屋の中に入るのだった。幸せを噛みしめながら。




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