「お前……また美也子を傷つけたのか!?」
「ち、違う……」

 しかし美也子はクスッと笑うと、沙夜に向かって告げる。

「私がいけなかったのです。お館様を見て、素敵だと言ったばかりに。嫉妬して、こんな事を……私がお姉様を不愉快にしたばかりに」

 これでは、前回と同じになってしまう。
 そうしたら父親は沙夜を頬を思いっきり叩く。勢いで倒れ込む沙夜に怒鳴りつけた。

「お前って奴は、こんな時でも美也子をイジメないと気が済まないのか!? 相変わらず心まで腐りきっているな」

 そうしたら朔夜は現れる。

「これは、どういうことだ?」と、言いながら。
 しかし、美也子はそれを逃さなかった。雅和を押し退けると、泣きながら朔夜の胸元に飛び込んで行った。
 それには沙夜だけではなく、雅和を驚いていた。

「お姉様がカッターナイフで、私を切り付けてきたんです~」

 今度は朔夜を味方につけようとしてくる。どうしよう。
 沙夜は必死にどう説明したらいいか考える。このままでは、朔夜まで信じてしまうかもしれない。
 だが、朔夜は顔1つ変えずに「そこでやり取りを聞いていた。それは、本当か?」と、美也子に聞き直してきた。
 美也子は目尻に涙を溜めながら、うるうるする。

「……はい。お姉様は、昔から私に意地悪で。今回も私が怒らすことを言ったから、怒って、このようなことをしたのでしょう。お姉様、ごめんなさい。私が……全て悪いのです。罰は受けますから」

 大げさとばかりの声で、謝罪をしてきた。
 父親は、さらに激怒する。