そうだった。今は顔の傷痕が消えたのだ。昔の自分とは違う。
 不思議と朔夜が言われると、自信が持てた。
 お陰で、沙夜は新年会に行く決意が出来た。自分でけじめをつけるために。
 
 そして、新年会の日。
 今まで招待されても出席しなかった朔夜が来たことは、村の上層部達は驚いていた。
 初めて見る朔夜の姿に美也子を始め、周りは驚いていた。今まで声や、小町が担当していたため知らない者が多い。
 この世のモノとは思えない美しい朔夜の姿に圧倒されていた。美也子は頬を赤く染めて見惚れていた。

「招待してくれて、誠に感謝する」
「あ、来た下さいまして、ありがとうございます」

 沙夜の父親は大慌てで頭を下げて挨拶をする。出席しなかったため、今まで一番偉い存在だったので焦っているのだろう。

「お前が、沙夜の父親か? 今年は私の可愛い花嫁を連れてきた。久しぶりに会えて、喜ばしかろう?」

 朔夜はそう言って、玄関傍で隠れていた沙夜を手招きする。
 そうしたら沙夜の父親だけではなく、美也子と雅和は目を大きく見開いて啞然とする。それもそのはずだろう。
 あんなに目立つ右目にある傷痕が綺麗に消えていたのだ。
 小町が繕ってくれた上等な着物。そしてメイク。
 今まで見たこともないほど、綺麗になった沙夜を目の辺りにすることに。

「これは……沙夜!? どういうことだ? 傷痕は??」
「ああ、私が治した。これぐらいなら私の異能で、どうにか出来るからな」
「そ、そうですか。沙夜……久しぶりだな」

 父親の口元は引きつっていた。まさか長女の傷痕が治るとは思わなかったのだろう。