「本当に……お前は可愛いのう」

 そう言って朔夜はキスをしてくれたのだった。愛し合う日々。

 それから月日が流れる。夏から冬になった頃。
 沙夜の身体に異変が。食べ物を見ると、気持ち悪くなって吐いてしまった。胃がムカムカして、食欲がない。

「もしかして、ご懐妊なされたのではないですか!?」

 小町がその異変に気づいて、そう言ってきた。

「ま、まさか……」

 しかしご懐妊言われて、思い当たる節はある。そういえば月ものが来ていない。
 症状も言われてみれば、つわりと同じだ。
 そうなると、朔夜との子を授かったことになるだろう。

(私が……朔夜様との子を!?)

 結婚して夫婦生活をしていれば当然のことだろうが、いざ分かると何とも不思議な気持ちだった。嬉しくて、申し訳ないような。

「さっそく、お館様にお知らせをしましょう。絶対喜んで下さいます」
「そ、そうかしら?」

 喜んでくれるといいのだが。少し不安になりながらも、小町と一緒に朔夜の報告に向かった。
 事情を話すと、朔夜は黙って聞いているだけだった。

(あれ? もしかして嫌だったのかしら?)

 もっと、反応してくれるのかと思ったのだが、思ったよりも冷静な反応。
 反対されるのかと思うと、怖くなってくる。思わずギュッとお腹に触れる。
 そうしたら朔夜が沙夜を手で手招きをする。こちらに来いと。
 恐る恐る立ち上がると、沙夜は朔夜の傍に。すると、ギュッと抱き締めてきた。
 そして朔夜の膝の上に座らされた。