その後も朔夜は、無口ではあるが沙夜を気遣う姿を見せた。
 沙夜は小町と一緒に薬草やキノコなどを収穫していたら、朔夜は姿を現す。
 そうしたら小町は「丁度いいから、お散歩でもしてきたらいかがでしょうか?」と言ってくる。
 戸惑う沙夜に、朔夜は手を差し出してくる。

「えっ?」
「どうした? 散歩に行かないのか?」
「は、はい。行きます」

 恐る恐るだったが沙夜は、その手を受け取る。彼は優しく手を繋いでくれると、沙夜の速度に合わせて歩いてくれた。
 夏の暑さを守るために日傘まで差してくれる。一緒に神社近くを歩いていると、花やキノコを発見する。

「あのキノコは、食べられるキノコですね」
「詳しいな」
「あ、すみません。村ではキノコとかをよく採っていたので」

 使用人としてキノコの収穫とかも、やらされていた。自分のお腹が空いた時の非常食にもなったので慣れている。
 そうしたら朔夜はクスッと笑った。

「いいのではないか? いい特技だと思うぞ」
「あ、ありがとうございます」

 まさか褒められるとは思わなかった。しかも微笑んでくれるとは。
 沙夜はドキドキと心臓が高鳴る、嬉しい。
 食事の時も沙夜は、自ら進んで料理を作るのを手伝った。そうしたら朔夜は、その料理を食べてくれた。