「私は……変わりたい」

 秋葉は顔を上げて、渇望するように憂夜を見る。儚げだが激しさも宿った揺れる瞳に、彼の胸は高鳴った。
 彼女の燃えたぎる『魂』が欲しいと思った。

「あなたとなら……前向きに生きれそうな気がする」

 秋葉はずっと自分が嫌いだった。身体から霊力が消えて、心もどんどん腐っていくのを感じていた。
 以前は持っていた他者を思い遣る優しさや、世界を楽しいと思う気持ちも抜け落ちていった。

 このままじゃいけないって思っていたのに、結局は自分自身のことだけ。それが己の本心だったのかと思うと、吐き気がした。

 でも。
 目の前の憂夜の瞳を見つめていると、胸の奥底から嵐のような衝動が起こってくる。
 彼と一緒にいると、何かが変わるかもしれない。

 そんな予感がする。
 明るい未来の、予感が。

「じゃ、決まりだな」

 憂夜はぽんと秋葉の頭を撫でた。
 彼女は照れくさそうに、こくりと頷いた。