黒の花嫁/白の花嫁


 それは、自戒の意味も込められていた。

 秋葉もまた、霊力が消えるまでは『特別な子』として育てられてきた。
 彼女は妹ほど驕り高ぶった態度は取らなかったが、己が他者よりも優位な存在だとは自覚をしていた。
 振り返ると、知らず知らずのうちにそれが言動に現れていたのかもしれない。

 それだから、霊力が消えた瞬間に周囲から人が離れていったのだと猛省した。
 妹が周囲に対して不遜な態度を振り撒く様子を見て、このままではこの子も一人ぼっちになるかもしれないと思った。
 なので、いくら疎まれたり嫉妬だと笑われたりしても、注意は止めなかった。

(でも……。春菜には全く通じなかったのね……)

 寂寥感が、彼女の肩に重くのしかかっていく。
 これも霊力のせいだろうか。いつの間にか大事な妹と意思疎通ができなくなってしまったのが、彼女の一番の後悔だった。


「……るさい…………」

 次の瞬間、春菜がゆらりと左右に揺れたと思ったら――、

「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいっ!!」

 彼女の全身から、雪崩のように黒い影が一気に飛び出してきた。