学校からファミレスまでは徒歩20分掛かる
無言の列でぞろぞろと店へ向かう
大分駅に向かうなら大学から出ている無料のバスで行ける
大分駅と高校のちょうど中間地点にあるせいで、歩いた方が早いという結論になった
すでにグループが出来ているらしく、列も自然と3つの固まりになった
八子、響、火花はそのうちの1つだ
「みんなグループ出来てる」
「ほとんど1組、2組だからね」
「3組って誰がいたっけ?」
「広川みるくさんとか」
八子は記憶の糸を手繰り寄せる
同じ制服なのに、どこか品のある女子生徒だ
挨拶がごきげんようなので覚えている
実家が農家と言っていたが、きっと果物農家なのだろう
「家が宮殿でブドウ畑持ってそう」
「確かに
ワイングラスとか似合いそう」
ファミレスには、自転車通学組が先に席を取り陣取っていた
ドリンクバーは注文済みで、各々グラスにジュースを注いで席に座る
仕切り役の女子生徒はグラスを掲げる
「それでは軽音楽部1年生の激励会?ミーティング?集まり的なものを祝しまして・・・乾杯!」
「乾杯!」
部員達は腰を上げ、グラスとグラスを当てる
「それで注文取りながら自己紹介しようか
まずは私!泉岳寺うづめです
楽器はギター
好きなバンドはつしまみれ、ミドリ、人間椅子
よろしく!」
「俺、ベースの大葉慎之介
好きなバンドはサンボマスター、フジファブリック
よろっ」
「大橋剣、ドラム
好きなバンドはONE OK ROCK、Crossfaith、Fact」
「三井済夏、同じくドラム
好きなバンドはNEE、シンガーズハイ、ORANGE RANGE」
泉州響は呟く
「ドラム二人なんだ」
「こいつは着ぐるみ
私がドラム叩く」
「おいちょっと待て
ドラムは俺だろ」
うづめは二人をからかう
「なんなら二人で叩けば
RADWIMPSのサポートみたいな感じ」
「いい加減なこと言うなようづめ
誰がこいつと一緒にドラム叩けるかよ」
「私も願い下げよ
一緒にバンドやってあげていることに感謝してほしいわ」
「うんだと」
斉夏と剣は互いに火花を散らす
「そうだ!
うづめ考えたけど
剣が着ぐるみ着ればいいじゃない」
「おっいい案じゃねぇの」
「なにマスコット的存在」
「ピエロ、狼、うさぎ
ほらマスコットはバンドが売れるために必要だよ」
剣は不貞腐れそっぽを向く
「それなら俺はやらねぇ」
済夏は親指を立て剣を指す
「はーいじゃあこいつをメンバーに入れたい人いたら手を上げてください」
誰一人手が上がらない
「ほらぁ誰も手を挙げないじゃん」
八子は思わず立ち上がりフォローをする
「ごめん
多分、皆、ドラムいるんだと思う」
「ありがとうその言葉が一番傷つく」
「ドンマイ!」
「くそー来年まで待ってやる」
「えーだめ
私のバンドのメンバーだから」
響は不思議そうに二人を見る
「あの斉夏さんと剣君ってどんな関係なの」
「突き放したりくっついたりするのが楽しいの
友達でも恋人でもない」
「こいつ陰湿だからな
修学旅行同じ班でキモいって言うから別の班に替えたのに
上履きに画鋲入れてくるし」
「てへへ
それは本音
だけど一緒の班じゃないと許さない」
済夏は陰気な空気を出す
「小学校の林間教室で私の好きな先生のカレーに七味を大量に入れて困らせたから
無期懲役でーす
一生私が不幸を味わせてあげるから」
済夏は途端に明るくなり、剣にコーラの入ったグラスを差し出す
「コーラ飲む」
「絶対なにか入れた」
「タバスコ一本分」
「食材を無駄にするな」
「嘘だよ
ほとんど空になっているやつ使った」
「やっぱ入れているのかよ」
「ジンジャーエールって生姜じゃん
その理論で言ったら、香辛料と炭酸の組み合わせは最高になるわけなのさ」
「なるほど、飲んでみるか」
剣はコーラを一気飲みする
「ってまずっ」
「だよね」
「はーいじゃあ話元に戻すよ」
広川みるくは自己紹介をする
「改めましてごきげんよう
私、広川みるくと申します
楽器はピアノと琵琶を少々
好きなバンドは、チャットモンチーとずっと真夜中でいいのに。です
どうぞよろしく」
「へー意外ずとまよ聴くんだ」
「サポート・ベースの二家本亮介さんを推してまして」
「ベースごりっごりに効いているからね」
「うづめとみるくは家が親戚でよく仲良くしてるんだ
よろしくね」
これはまた意外な組み合わせだと八子は思う
「この流れだと私か
田中あみ、ベース
ボカロが好きだからPさんのソロ活動を推してます
米津玄師さんとか、キタニタツヤさんとか
バンドだとMr.FanTastiC、CIVILIAN、ヒトリエとかかな
自分が目立ちたいわけじゃないから
可能な限りこうしたいって要望に答えるつもりです
なのでよろしく」
「稲葉勝黄です、ドラムです
よくギターじゃないのかと突っ込まれます
好きなバンドはBring Me the Horizon、Survive Said The Prophet、WENDY
俺もあみと立ち位置は同じかな
リードしてくれる人がいたら従う
よろしく」
「高橋航海です
まだ入部希望だけど
キーボード、ギター、ベース
好きなバンドはBAND-MAID
よろしくお願いします」
「あ、えっと、北谷八子です
ギターやってます
好きなバンドは凛として時雨、セツナブルースター、amazarashiです
クラブミュージックも好きです
よろしくお願いします」
「泉州響、ドラムです
好きなバンドはSIAMES、English Teacher、さめさめバンド
よろしく」
「じゃ最後は火花さん」
うづめは大事なことを忘れてたとはっとなる
「あっ!
火花さん耳聴こえないのに話進めちゃった
ごめん」
「全然いいよ」
誰の声だ
一斉の視線が火花の方へ向く
火花はいつの間にかチョーカーを身に着けていた
唇は動いてないが、スピーカーから声が流れる
「私聴こえているから」
「火花さんそれなに」
「耳が聴こえないからチョーカーと脳を繋いでいるの
音を拾うことも出すことも出来る」
剣は目を輝かせている
なにやら興味がありそうな感じた
「最近の補聴器すげー」
「補聴器じゃないけどね」
「そっかそれで」
「この音も作っている音だから私の声じゃないけど」
「それでもすごいよ
合成音声感がない」
「ありがとう
えっと、私、南火花ギターです
好きなバンドはthe band apart、fox capture plan、GLIM SPANKY
よろしくお願い致します」
「よろしくー
よしこれで全員の自己紹介終わったね
紙にまとめるからちょっと待って」
ここで店員が料理を運んでくる
皆、空気を読むのが上手い
同じ料理を4人前頼んでいる
八子は頼んだマルゲリータピザを腕でそっと隠した
「どうしたの食べないの」
「あ、うん」
皆が料理を取り分けている中、一人だけピザを食べるのは可笑しかった
八子は熱さなど忘れて、ピザを早く食べ終える
響はその様子を微笑ましく見る
(お腹空いてたんだな)
一段落したところで、うづめはノートを読み上げる
「よーし振り返るよ
バンドA
泉岳寺うづめ ギター
大葉慎之介 ベース
三井済夏、大橋剣 ドラム
バンドB
広川みるく ボーカル
田中あみ ベース
稲葉勝黄 ドラム
バンドC
北谷八子 ギター
南火花 ギター
泉州響 ドラム
まず北谷さん達はベースレスで大丈夫?」
「今のところ問題なし」
「じゃあ高橋君はどのバンドがいい」
「消去法でバンドB」
「わかった」
無言の列でぞろぞろと店へ向かう
大分駅に向かうなら大学から出ている無料のバスで行ける
大分駅と高校のちょうど中間地点にあるせいで、歩いた方が早いという結論になった
すでにグループが出来ているらしく、列も自然と3つの固まりになった
八子、響、火花はそのうちの1つだ
「みんなグループ出来てる」
「ほとんど1組、2組だからね」
「3組って誰がいたっけ?」
「広川みるくさんとか」
八子は記憶の糸を手繰り寄せる
同じ制服なのに、どこか品のある女子生徒だ
挨拶がごきげんようなので覚えている
実家が農家と言っていたが、きっと果物農家なのだろう
「家が宮殿でブドウ畑持ってそう」
「確かに
ワイングラスとか似合いそう」
ファミレスには、自転車通学組が先に席を取り陣取っていた
ドリンクバーは注文済みで、各々グラスにジュースを注いで席に座る
仕切り役の女子生徒はグラスを掲げる
「それでは軽音楽部1年生の激励会?ミーティング?集まり的なものを祝しまして・・・乾杯!」
「乾杯!」
部員達は腰を上げ、グラスとグラスを当てる
「それで注文取りながら自己紹介しようか
まずは私!泉岳寺うづめです
楽器はギター
好きなバンドはつしまみれ、ミドリ、人間椅子
よろしく!」
「俺、ベースの大葉慎之介
好きなバンドはサンボマスター、フジファブリック
よろっ」
「大橋剣、ドラム
好きなバンドはONE OK ROCK、Crossfaith、Fact」
「三井済夏、同じくドラム
好きなバンドはNEE、シンガーズハイ、ORANGE RANGE」
泉州響は呟く
「ドラム二人なんだ」
「こいつは着ぐるみ
私がドラム叩く」
「おいちょっと待て
ドラムは俺だろ」
うづめは二人をからかう
「なんなら二人で叩けば
RADWIMPSのサポートみたいな感じ」
「いい加減なこと言うなようづめ
誰がこいつと一緒にドラム叩けるかよ」
「私も願い下げよ
一緒にバンドやってあげていることに感謝してほしいわ」
「うんだと」
斉夏と剣は互いに火花を散らす
「そうだ!
うづめ考えたけど
剣が着ぐるみ着ればいいじゃない」
「おっいい案じゃねぇの」
「なにマスコット的存在」
「ピエロ、狼、うさぎ
ほらマスコットはバンドが売れるために必要だよ」
剣は不貞腐れそっぽを向く
「それなら俺はやらねぇ」
済夏は親指を立て剣を指す
「はーいじゃあこいつをメンバーに入れたい人いたら手を上げてください」
誰一人手が上がらない
「ほらぁ誰も手を挙げないじゃん」
八子は思わず立ち上がりフォローをする
「ごめん
多分、皆、ドラムいるんだと思う」
「ありがとうその言葉が一番傷つく」
「ドンマイ!」
「くそー来年まで待ってやる」
「えーだめ
私のバンドのメンバーだから」
響は不思議そうに二人を見る
「あの斉夏さんと剣君ってどんな関係なの」
「突き放したりくっついたりするのが楽しいの
友達でも恋人でもない」
「こいつ陰湿だからな
修学旅行同じ班でキモいって言うから別の班に替えたのに
上履きに画鋲入れてくるし」
「てへへ
それは本音
だけど一緒の班じゃないと許さない」
済夏は陰気な空気を出す
「小学校の林間教室で私の好きな先生のカレーに七味を大量に入れて困らせたから
無期懲役でーす
一生私が不幸を味わせてあげるから」
済夏は途端に明るくなり、剣にコーラの入ったグラスを差し出す
「コーラ飲む」
「絶対なにか入れた」
「タバスコ一本分」
「食材を無駄にするな」
「嘘だよ
ほとんど空になっているやつ使った」
「やっぱ入れているのかよ」
「ジンジャーエールって生姜じゃん
その理論で言ったら、香辛料と炭酸の組み合わせは最高になるわけなのさ」
「なるほど、飲んでみるか」
剣はコーラを一気飲みする
「ってまずっ」
「だよね」
「はーいじゃあ話元に戻すよ」
広川みるくは自己紹介をする
「改めましてごきげんよう
私、広川みるくと申します
楽器はピアノと琵琶を少々
好きなバンドは、チャットモンチーとずっと真夜中でいいのに。です
どうぞよろしく」
「へー意外ずとまよ聴くんだ」
「サポート・ベースの二家本亮介さんを推してまして」
「ベースごりっごりに効いているからね」
「うづめとみるくは家が親戚でよく仲良くしてるんだ
よろしくね」
これはまた意外な組み合わせだと八子は思う
「この流れだと私か
田中あみ、ベース
ボカロが好きだからPさんのソロ活動を推してます
米津玄師さんとか、キタニタツヤさんとか
バンドだとMr.FanTastiC、CIVILIAN、ヒトリエとかかな
自分が目立ちたいわけじゃないから
可能な限りこうしたいって要望に答えるつもりです
なのでよろしく」
「稲葉勝黄です、ドラムです
よくギターじゃないのかと突っ込まれます
好きなバンドはBring Me the Horizon、Survive Said The Prophet、WENDY
俺もあみと立ち位置は同じかな
リードしてくれる人がいたら従う
よろしく」
「高橋航海です
まだ入部希望だけど
キーボード、ギター、ベース
好きなバンドはBAND-MAID
よろしくお願いします」
「あ、えっと、北谷八子です
ギターやってます
好きなバンドは凛として時雨、セツナブルースター、amazarashiです
クラブミュージックも好きです
よろしくお願いします」
「泉州響、ドラムです
好きなバンドはSIAMES、English Teacher、さめさめバンド
よろしく」
「じゃ最後は火花さん」
うづめは大事なことを忘れてたとはっとなる
「あっ!
火花さん耳聴こえないのに話進めちゃった
ごめん」
「全然いいよ」
誰の声だ
一斉の視線が火花の方へ向く
火花はいつの間にかチョーカーを身に着けていた
唇は動いてないが、スピーカーから声が流れる
「私聴こえているから」
「火花さんそれなに」
「耳が聴こえないからチョーカーと脳を繋いでいるの
音を拾うことも出すことも出来る」
剣は目を輝かせている
なにやら興味がありそうな感じた
「最近の補聴器すげー」
「補聴器じゃないけどね」
「そっかそれで」
「この音も作っている音だから私の声じゃないけど」
「それでもすごいよ
合成音声感がない」
「ありがとう
えっと、私、南火花ギターです
好きなバンドはthe band apart、fox capture plan、GLIM SPANKY
よろしくお願い致します」
「よろしくー
よしこれで全員の自己紹介終わったね
紙にまとめるからちょっと待って」
ここで店員が料理を運んでくる
皆、空気を読むのが上手い
同じ料理を4人前頼んでいる
八子は頼んだマルゲリータピザを腕でそっと隠した
「どうしたの食べないの」
「あ、うん」
皆が料理を取り分けている中、一人だけピザを食べるのは可笑しかった
八子は熱さなど忘れて、ピザを早く食べ終える
響はその様子を微笑ましく見る
(お腹空いてたんだな)
一段落したところで、うづめはノートを読み上げる
「よーし振り返るよ
バンドA
泉岳寺うづめ ギター
大葉慎之介 ベース
三井済夏、大橋剣 ドラム
バンドB
広川みるく ボーカル
田中あみ ベース
稲葉勝黄 ドラム
バンドC
北谷八子 ギター
南火花 ギター
泉州響 ドラム
まず北谷さん達はベースレスで大丈夫?」
「今のところ問題なし」
「じゃあ高橋君はどのバンドがいい」
「消去法でバンドB」
「わかった」


