約1時間後、お開きになった
店外にて。うづめは手を挙げて二次会への参加を募った
「これから駅前のカラオケ行く人?」
「私は遠慮しておきますわ」
「私もー」
「同じく」
「わかった
みるくと八子さんと響さんは帰るんだね
馬鹿男子は?」
「「「うーす」」」
「馬鹿男子って俺も入ってる?」
「男子は全員馬鹿」
「ひどっ」
「ごめんって」
「まぁ行く」
「おおぉ
現役ボカロPの歌声が聴けるとは」
「いやそんなに上手くないから」
「そんなことありませんわ
サマソニ出てますから」
「まじでCDJは?」
「一回きり」
「凄いじゃん」
うづめはびしばしと背中を叩く
「期待の超新星」
そこへ赤い車が進入する
「あ、ジャックだ」
火花は車へ駆け寄る
「今日は皆ありがとう
またね」
八子は手を振る
「また明日」
「気を付けて帰ってね
さようなら」
これから三人での活動が始まるのか
八子は期待で胸が膨らんだ
火花は車のドアに手を掛けるが、踵を返しみるくの元へ向かった
「みるくさん」
「なんですの」
火花は小声で話し掛ける
「うづめさんとみるくさんって似ているね」
みるくは含みを持たせた笑みを浮かべる
「それは親友ですから
運命を共にした月と太陽」
「ふーんならいいんだ」
「北谷さんと南さんこそ似ていらして」
「偶然だよ」
「東にも縁がありそうですね」
「西にも縁があるの」
火花はみるくから離れ、満足気に車へ乗り込む
八子はその様子を怪訝な顔で見る
車が走り去る
「ねぇ今何の話をしていたの」
「南さんの家は病院をやっていまして
前にお世話になったことがあるんです」
もちろん口からでまかせだ
だが、八子には分かるはずもなく納得させる
「そうなんだ」
「ハチ、行こう」
「うん
皆じゃあね」
八子と響は部員達と別れた
◇
車中、ジャックは火花と話す
「学校では使わないという約束でしたが」
ジャックは静かに火花に怒る
「ごめんなさい
音楽に少し興味があったの」
「全くあなたという人は
ご両親に話もなく決めて」
「丸く収めてくれると嬉しいのだけれど」
「なら反省の意としてご返却ください」
「わかったわ」
火花はチョーカーを外す
その時、キーンと頭の中で金属音が鳴った
火花はこの瞬間が一番嫌いであった
世界中から音が消え孤独になる瞬間が
火花は暗い顔で窓の外を見る
外は暗くなにも見えない
まるで自分の心と同じだと火花は思う
◇
カラオケ店にて。慎之介は半ば投げやりな声でグッドモーニングアメリカの「空ばかり見ていた」を歌う
剣はうづめに話し掛ける
「同じバンドになってよかった」
「中学違かったからね」
「高校合わせたんだ」
「へぇなんで」
「守りたかったから」
「カッコいいこと言うじゃん」
「両親が死んで変わっただろ」
「そうかな」
「なにかに成り切ろうと必死だ」
「なろうとして変わったんだよ」
「なにかにならなくていい」
「どうして」
「ちゃんと生きれてるから」
「ありがとう」
剣とうづめは固く手を握った
◇
ジャックは火花を自宅へと送り、研究施設へ戻る
研究施設のラウンジでは、南宗太郎(ミナミソウタロウ)が待ち構えていた
宗太郎はジャックを近くの椅子へと手招きする
「座りたまえ」
宗太郎はパソコンを操作する
「チョーカーを外の人間に見せたな」
「申し訳ございません
私の監督責任です」
「別に構わない
いずれ発表する予定だからな
それに噂を聞きつけて魚が群がるかもしれない」
宗太郎はほくそ笑む
彼の心中には常にビジネスがあった
「では学校で使用してよいと」
「授業はこれまで通りに
部活動なら許可をする」
「なぜ授業では駄目なのですか」
「北谷八子がいないからだ」
ジャックは初めて聞く名だと思った
「我々は四神(シシン)が国を護るという言い伝えを信じている
本家の北家、東家、南家、西家
そして分家の北山家、北谷家、東山家、東谷家、南山家、南谷家、西山家、西谷家」
宗太郎は一呼吸を置く
「北家が黙っていないわけがないが
同じ四神信仰の家の元
二人が関わりどういう結果が出るのかも気になる」
宗太郎はパソコンを持ち立ち上がる
「5月のどこか
彼女をここへ招待しよう
そして被検体として迎え入れる」
「分かりました」
「準備をしておきたまえよ」
「はい」
宗太郎は去り際に呟く
「千里(チサト)はどこにおる」
店外にて。うづめは手を挙げて二次会への参加を募った
「これから駅前のカラオケ行く人?」
「私は遠慮しておきますわ」
「私もー」
「同じく」
「わかった
みるくと八子さんと響さんは帰るんだね
馬鹿男子は?」
「「「うーす」」」
「馬鹿男子って俺も入ってる?」
「男子は全員馬鹿」
「ひどっ」
「ごめんって」
「まぁ行く」
「おおぉ
現役ボカロPの歌声が聴けるとは」
「いやそんなに上手くないから」
「そんなことありませんわ
サマソニ出てますから」
「まじでCDJは?」
「一回きり」
「凄いじゃん」
うづめはびしばしと背中を叩く
「期待の超新星」
そこへ赤い車が進入する
「あ、ジャックだ」
火花は車へ駆け寄る
「今日は皆ありがとう
またね」
八子は手を振る
「また明日」
「気を付けて帰ってね
さようなら」
これから三人での活動が始まるのか
八子は期待で胸が膨らんだ
火花は車のドアに手を掛けるが、踵を返しみるくの元へ向かった
「みるくさん」
「なんですの」
火花は小声で話し掛ける
「うづめさんとみるくさんって似ているね」
みるくは含みを持たせた笑みを浮かべる
「それは親友ですから
運命を共にした月と太陽」
「ふーんならいいんだ」
「北谷さんと南さんこそ似ていらして」
「偶然だよ」
「東にも縁がありそうですね」
「西にも縁があるの」
火花はみるくから離れ、満足気に車へ乗り込む
八子はその様子を怪訝な顔で見る
車が走り去る
「ねぇ今何の話をしていたの」
「南さんの家は病院をやっていまして
前にお世話になったことがあるんです」
もちろん口からでまかせだ
だが、八子には分かるはずもなく納得させる
「そうなんだ」
「ハチ、行こう」
「うん
皆じゃあね」
八子と響は部員達と別れた
◇
車中、ジャックは火花と話す
「学校では使わないという約束でしたが」
ジャックは静かに火花に怒る
「ごめんなさい
音楽に少し興味があったの」
「全くあなたという人は
ご両親に話もなく決めて」
「丸く収めてくれると嬉しいのだけれど」
「なら反省の意としてご返却ください」
「わかったわ」
火花はチョーカーを外す
その時、キーンと頭の中で金属音が鳴った
火花はこの瞬間が一番嫌いであった
世界中から音が消え孤独になる瞬間が
火花は暗い顔で窓の外を見る
外は暗くなにも見えない
まるで自分の心と同じだと火花は思う
◇
カラオケ店にて。慎之介は半ば投げやりな声でグッドモーニングアメリカの「空ばかり見ていた」を歌う
剣はうづめに話し掛ける
「同じバンドになってよかった」
「中学違かったからね」
「高校合わせたんだ」
「へぇなんで」
「守りたかったから」
「カッコいいこと言うじゃん」
「両親が死んで変わっただろ」
「そうかな」
「なにかに成り切ろうと必死だ」
「なろうとして変わったんだよ」
「なにかにならなくていい」
「どうして」
「ちゃんと生きれてるから」
「ありがとう」
剣とうづめは固く手を握った
◇
ジャックは火花を自宅へと送り、研究施設へ戻る
研究施設のラウンジでは、南宗太郎(ミナミソウタロウ)が待ち構えていた
宗太郎はジャックを近くの椅子へと手招きする
「座りたまえ」
宗太郎はパソコンを操作する
「チョーカーを外の人間に見せたな」
「申し訳ございません
私の監督責任です」
「別に構わない
いずれ発表する予定だからな
それに噂を聞きつけて魚が群がるかもしれない」
宗太郎はほくそ笑む
彼の心中には常にビジネスがあった
「では学校で使用してよいと」
「授業はこれまで通りに
部活動なら許可をする」
「なぜ授業では駄目なのですか」
「北谷八子がいないからだ」
ジャックは初めて聞く名だと思った
「我々は四神(シシン)が国を護るという言い伝えを信じている
本家の北家、東家、南家、西家
そして分家の北山家、北谷家、東山家、東谷家、南山家、南谷家、西山家、西谷家」
宗太郎は一呼吸を置く
「北家が黙っていないわけがないが
同じ四神信仰の家の元
二人が関わりどういう結果が出るのかも気になる」
宗太郎はパソコンを持ち立ち上がる
「5月のどこか
彼女をここへ招待しよう
そして被検体として迎え入れる」
「分かりました」
「準備をしておきたまえよ」
「はい」
宗太郎は去り際に呟く
「千里(チサト)はどこにおる」


