「詩音…。香苗ちゃんが、妊娠した」
その言葉だけは聞きたくなかった。
それだけは勘弁して欲しかった。
「そう。よかったじゃない。あなた」
愛想笑いを作るのも疲れた。何もかもが憂鬱。
私を分かってくれるのは萌愛だけ。
本当の娘の萌愛だけ。
あの人には愛情がなかった。「いる」と思われる。
空気みたいに扱われる。
ただそれだけだ。
嘘の愛は嫌い。空っぽだから。
だけど、離婚はしない。萌愛が言っていたから。
「ママ、パパ、離婚しないでね⁉︎」
人生で一番大事で、一番好きな人が言ったから。
裁判は開こうと思う。だけど私は参加しない。
見てるだけだ。
裁判自体は萌愛に任せる。あの子は素晴らしい。
私の何倍も。
嫌いな子には「嫌い」と言える。
自分が正しいときは「馬鹿だね」って言える。
今の時代、そんなに勇気がある子は少ないと思う。
だから、私は萌愛を愛している。
「詩音。俺は、香苗ちゃんを愛している。離婚をしよう。」
いつか言われるとは分かっていた。
香苗ちゃんは私より12歳も年下の女の子だから。
私が今、42だから香苗ちゃんは30歳か。
あの人は若い人が好きだ。変態な趣味だと思うかもしれない。
昔の私もそうだった。
金目的であの人に近づいて、あっけなくプロポーズされた。
まぁ、いつか別れればいいか、という軽い気持ちで受け止めた。
だが、そんな訳にはいかなかった。
萌愛を妊娠した時だった。
産まれた萌愛は、かわいくて、弱くて、私がいないと死んでしまいそうだった。
その時。私は決めた。
この子を、幸せにする。
その言葉だけは聞きたくなかった。
それだけは勘弁して欲しかった。
「そう。よかったじゃない。あなた」
愛想笑いを作るのも疲れた。何もかもが憂鬱。
私を分かってくれるのは萌愛だけ。
本当の娘の萌愛だけ。
あの人には愛情がなかった。「いる」と思われる。
空気みたいに扱われる。
ただそれだけだ。
嘘の愛は嫌い。空っぽだから。
だけど、離婚はしない。萌愛が言っていたから。
「ママ、パパ、離婚しないでね⁉︎」
人生で一番大事で、一番好きな人が言ったから。
裁判は開こうと思う。だけど私は参加しない。
見てるだけだ。
裁判自体は萌愛に任せる。あの子は素晴らしい。
私の何倍も。
嫌いな子には「嫌い」と言える。
自分が正しいときは「馬鹿だね」って言える。
今の時代、そんなに勇気がある子は少ないと思う。
だから、私は萌愛を愛している。
「詩音。俺は、香苗ちゃんを愛している。離婚をしよう。」
いつか言われるとは分かっていた。
香苗ちゃんは私より12歳も年下の女の子だから。
私が今、42だから香苗ちゃんは30歳か。
あの人は若い人が好きだ。変態な趣味だと思うかもしれない。
昔の私もそうだった。
金目的であの人に近づいて、あっけなくプロポーズされた。
まぁ、いつか別れればいいか、という軽い気持ちで受け止めた。
だが、そんな訳にはいかなかった。
萌愛を妊娠した時だった。
産まれた萌愛は、かわいくて、弱くて、私がいないと死んでしまいそうだった。
その時。私は決めた。
この子を、幸せにする。



