香苗がコロナに罹ったとき、俺は娘のことが心配でたまらなかった。
だから、詩音に連絡をした。「萌愛、病気なってないか?」と。
そしたら、怒られた。「うちの子がなるわけないじゃない」なんて強気なメッセージ。
俺が好きなのは、香苗なのか。詩音なのか。娘のことを考えたら、やっぱり詩音か。
だが、詩音は最近、冷たい。萌愛のことばっかりで、女として扱えなくなった。
俺の性欲のことを考えたら、香苗の方がふさわしいのか。
近頃、自分の気持ちがよくわからなくなってきた。
だから、キャバクラに行くようになった。詩音と初めて会ったのもキャバクラだから。
詩音はたしかに平凡でありきたりな妻だ。
しかも、娘のことが第一らしく娘、娘、とうるさい。