2018年9月5日 萌愛9歳の誕生日
「おはよう、ママ!パパ!」
元気な子供の声がする。自分に向かって駆けてくるその姿。
子供の名前は萌愛といった。純粋で、元気で、強い女の子だった。
インフルエンサが小学校で流行る中、萌愛だけが病気にならなかった。
美味しそうにパンを頬張っている。バターをこぼしてしまい、苦笑いする萌愛。
母親と父親は、それを眺めて幸せそうに笑う。
なにもかもが幸せだった。この子がいれば悩みなんかなかった。
2019年9月5日 萌愛10歳の誕生日
「ママ~!おはよ!あれ、パパは?」
明るい子供の声がする。自分に向かって歩いてくる、その姿。
萌愛は十歳になった。部屋一面に飾られた『MOA happybirthday』の風船。
「ありがと、ママ!」
喜んでいるのか、萌愛は母親に抱き着いた。
父親の姿はなかった。娘の誕生日さえ、会社を休もうとしなかった。
萌愛は気にすることなく、学校に行く支度をする。
「帰ってきたら、ケーキ食べようね!」
母親にウインクをする萌愛。ランドセルを背負って、玄関のドアを開ける萌愛。
2020年9月5日 萌愛11歳の誕生日
「ママ、おはよ~!」
筋の通った子供の声がする。萌愛は自分に抱き着いてきた。
母親は嬉しそうに笑う。この年も父親の姿はなかった。
「ピロン!」
父親がスマホを忘れたのか、黒いIphoneからメールが届いている。
萌愛は気づき、スマホを手に取った。スマホの画面には――
『賢人くん!今日のご飯、どこにする~?(⋈◍>◡<◍)。✧♡)』
母親は震えた。自分の旦那は、知らない女性と連絡をとっている。
しかも、娘の誕生日に。
「会社の人かな?」
萌愛の声だけが、リビングに響いた。
「おはよう、ママ!パパ!」
元気な子供の声がする。自分に向かって駆けてくるその姿。
子供の名前は萌愛といった。純粋で、元気で、強い女の子だった。
インフルエンサが小学校で流行る中、萌愛だけが病気にならなかった。
美味しそうにパンを頬張っている。バターをこぼしてしまい、苦笑いする萌愛。
母親と父親は、それを眺めて幸せそうに笑う。
なにもかもが幸せだった。この子がいれば悩みなんかなかった。
2019年9月5日 萌愛10歳の誕生日
「ママ~!おはよ!あれ、パパは?」
明るい子供の声がする。自分に向かって歩いてくる、その姿。
萌愛は十歳になった。部屋一面に飾られた『MOA happybirthday』の風船。
「ありがと、ママ!」
喜んでいるのか、萌愛は母親に抱き着いた。
父親の姿はなかった。娘の誕生日さえ、会社を休もうとしなかった。
萌愛は気にすることなく、学校に行く支度をする。
「帰ってきたら、ケーキ食べようね!」
母親にウインクをする萌愛。ランドセルを背負って、玄関のドアを開ける萌愛。
2020年9月5日 萌愛11歳の誕生日
「ママ、おはよ~!」
筋の通った子供の声がする。萌愛は自分に抱き着いてきた。
母親は嬉しそうに笑う。この年も父親の姿はなかった。
「ピロン!」
父親がスマホを忘れたのか、黒いIphoneからメールが届いている。
萌愛は気づき、スマホを手に取った。スマホの画面には――
『賢人くん!今日のご飯、どこにする~?(⋈◍>◡<◍)。✧♡)』
母親は震えた。自分の旦那は、知らない女性と連絡をとっている。
しかも、娘の誕生日に。
「会社の人かな?」
萌愛の声だけが、リビングに響いた。



